洋服レンタル「airCloset」を展開しているエアークローゼット。洋服レンタルの月額制ファッションレンタルサービスを展開している企業。2014年7月設立。住友商事が10%ほど出資している。まだ利益がでていない段階で、成長性が前年比+1ケタ台となっているのが気になる。今後の株価と業績の行方はどうなるのか?
■基本情報(2022年11月25日時点)
- 株価:595円(10年来高値:1,250円)
- 時価総額:48億円
- 予想PER:赤字予想
- PBR:6.21倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:29.8%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:未公表
■エアークローゼットの業績は?
エアークローゼットの2023年6月期の第一四半期の売上高は8.5億円(前年同期比+9.4%増)、営業損失△30百万円(前年同期は△62百万円)と増収であるものの赤字幅拡大となった。エアークローゼットの売上総利益率は+50.0%(前年は+48.4%)とそれほど悪くないように見えるものの、ビジネスモデルとして運賃にコストがかかる。
決算説明資料に「限界利益」が表示されており、2022年1Qの限界利益率は+55.8%、2022年4Qの限界利益率は+57.3%、2023年1Q(今回)は+54.5%となっている。
今回の1Q決算をみると、売上総利益は4.2億円あるものの、販管費が4.5億円となり差し引きで赤字となっている。販管費の内訳としては広告宣伝費が1.7億円を占めている。言い換えると、売上高の約20%の広告宣伝を行わないと、顧客数が増えない状況になっている。
■エアークローゼットの事業内容は?
エアークローゼットは洋服の月額制レンタルサービスを行っている。ライトプラン(税込月額7,800円)、レギュラープラン(月額10,800円)、ライトプラス(月額13,800円)の3つのプランで洋服がレンタルできるもの。返送料は1回あたり330円の負担が必要。
顧客層は30代後半~40代の仕事をしている女性が中心。現在、有料の月額会員数は3.0万人となり、平均月額単価1万円と考えると、月額の売上高は約3億円となる。年間に換算すると、売上規模は36億円。ただ、会員数は2021年から3万人台で横ばいになっており、正直伸びていない。エアークローゼットには無料会員というWebサービスが利用できるものがあるが、こちらは登録者90万人規模となっている。
■競合他社は?
エアークローゼットのビジネスモデルはいわゆるレンタル衣料サービス。ビジネスモデルが独自ではなく、参入障壁が低い。競合他社としては、「メチャカリ」(メルカリ)、「EDIST.CLOSET」、「Rcawaii」、「Brista(ブリスタ)」など多い。しかも、競合他社の資本金をみると、それほど多くないところもあり、参入障壁がそれほど高くないビジネスモデルと考えることができる。
なお、2018年にZOZO「おまかせ定期便」、アオキ、レナウンなどもファッションレンタルサービスを展開したものの、数年で撤退している。ビジネスモデル的に利益のでる事業モデルでない可能性が高い。
■同じようなサービスも!
月額制の洋服レンタルサービスは競合他社が多いことがわかった。最近では洋服レンタルではなく、コーディネートだけのサービスをネット上で展開する「DROBE(ドローブ)」などもある。洋服レンタルはエアークローゼットが洋服という資産を所有し、商品のやり取りの運賃の負担が重いビジネスモデル。その難点を取り除いたコーディネートサービスも普及してくるかもしれない。
洋服自体が正直なところ、資産というより消耗品に近く、それほどレンタルに向いている商品でないことは歴史が証明している。これまで洋服のレンタルが普及してこなかった理由としては、①人のきた服を着たくない、②レンタルした服が汚れていた、③自分が服を傷めたわけではない、等、もめることが多い。また、メンテナンスとしてクリーニングの費用などがかかることも大きい。
■エアークローゼットの財務状況は?
エアークローゼットの2022年9月30日時点の財務状況をみると、現預金は16.2億円(長期預金:2.0億円含む)、レンタル資産は3.3億円を計上している。いっぽう、有利子負債は約13億円ほど計上しており、資金的に余裕がある状態ではない。なお、利益剰余金は△21.6億円の赤字を計上しており、ほぼ赤字のまま上場したと思われる。
上場時の公募価格は株価800円、実際の初値は910円となった。上場時の時価総額は74億円。現在の株価595円から考えると、公募価格も大きく割っている状況だ。
■エアークローゼットの株価推移は?
エアークローゼットの時価総額は約48億円。正直、業績面や成長性を考えると、ここから株価は半値になってもおかしくない。いっぽう、予想外に成長する可能性もゼロではないが、その場合は、競合他社が多数参入して価格競争になると思われる。自社でアパレル製品を創り出しているわけではないため、扱う製品がほぼ変わらず、結局は価格競争になってしまうからだ。
以 上