コロナ禍で苦戦中ぐるなび、つづく営業損失はいつまで?

 グルメサイト「ぐるなび」を展開している、ぐるなび。2020年2月頃から感染拡大した新型コロナウイルスの影響による飲食店の営業は大ダメージ。グルメサイトを展開している、ぐるなびも、2021年3月期の決算では営業損失△74億円を計上。これまでは売上高300~350億円ほどを計上し、営業利益は50~70億円ちかく計上していた優良企業。先が見えないなか、ぐるなびの業績と株価はどうなるのか?

■基本情報(2021年8月6日時点)

  • 株価:428円(10年来高値:3,165円)
  • 時価総額:208億円
  • 予想PER:ー(営業赤字△29.5億円の予想)
  • PBR:2.52倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:72.0%
  • 会計基準:日本基準

■ぐるなびの業績は?

 ぐるなびの2022年3月期の第一四半期の売上高は30.3億円(前年同期比+70.2%増)、営業損失△13.6億円(前年同期は△38.2億円の赤字)と増収と赤字縮小となった。ぐるなびの売上総利益率は+59.1%(前年同期は+2.5%)。売上総利益率が大きく改善した理由は前期4Qに減損処理を実施し、減価償却費が大きく減少したことが要因だ。

 これまで、ぐるなびはストック型(サブスクリプション型)のビジネスモデルと言われ、安定して収益を計上できることが強みだった。しかしながら、新型コロナウイルスの影響により外食産業は大きな痛手を受け、休会措置を実施した結果、ぐるなびの収益が急減する結果となった。緊急事態宣言が何度も発動されるなか、積極的にグルメサイトにお金をつかう飲食店はそれほど多くないだろう。

■ぐるなびのビジネスモデルは?

 ぐるなびは飲食店販促サービスが売上高の約8割を占めている。グルメサイト「ぐるなび」に掲載することで固定したサービス費用を受け取るもの。加えて、ネット予約手数料として1予約に対して「利用者数×手数料」を受け取っている。ぐるなびの総有料加盟店数は5.4万店舗。2018年には6.1万店舗を超えていたため、有料加盟店数の減少がつづいている。ぐるなび会員数は2,134万人であるものの、アクティブユーザはそれほど多くないだろう。

 グルメサイトは「ぐるなび」だけでなく、カカクコムの「食べログ」、リクルートの「ホットペッパーグルメ」、「Retty(レッティ)」、「ヒトサラ」など競合他社も少なくない。飲食店にとって、グルメサイトへのサービス料金は大きな固定費になるため、飲食店はどれか一つと契約するのが通常だ。Go To Eatキャンペーンのときも、多くのヒトがいくつかのグルメサイトを見ながら、行きたい店舗がGo To Eatキャンペーンをおこなっているか探したのではないだろうか。

■ぐるなびの復活は?

 ぐるなびは新型コロナウイルスの影響で業績悪化しているのは間違いないが、2017年頃から業績悪化はスタートしていた。2017年頃から株価は下落し、2019年頃には1株あたり600円くらいまで下落している。

 コロナ禍がいつまで続くか不明である点、コロナ禍が終わっても、ぐるなびの業績が以前よりも回復する見込みが見えない点を考慮すると、積極的に買われる相場ではないかもしれない。現在の時価総額は約200億円(株価は1株あたり428円)。2019年3月期の業績をみると、1株当たりの純利益は12.4円で計算しても、PERは30倍以上になる。おそらく、安値と思って個人投資家で買う人は少なくないと思うので、ここから半値くらいまで株価は下落する可能性も十分ありえる。

 筆頭株主の楽天と連携した「楽天ぐるなびデリバリー」なども2021年7月よりスタートしているが、ウーバーイーツや出前館などに対抗できるだろうか。おそらく、難しいのではないか。

 ただし、ぐるなびは飲食店5万店舗以上を顧客に持ち、全国に営業所を設けている。それらの顧客に人材採用、システム、食材などを提供したい企業があれば、株価がここから下がるのであれば資本提携などを新しい局面が期待できるかもしれない。

(画像1)ぐるなびの株価推移

以 上

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