円安・原材料高により利益縮小のグラフィコ、翌年度の予想は増収減益に!

 洗濯だけでなく掃除にも使える「万能クリーナー」の「オキシクリーン」を中心に女性視点の商品を企画・販売しているグラフィコ。健康食品、化粧品、日用品雑貨などをファブレス(工場なし)で生産・販売するメーカーだ。2022年8月12日発表の決算をみると、原料高・円安などによる減益。翌年度予想は増収減益と株価にマイナスのインパクトが多い。

「オキシクリーン」のグラフィコ、業績堅調も株価は低迷、インパクト不足!?(2021年10月10日投稿)

「オキシクリーン」国内独占販売権を持つグラフィコ、下落する株価の行方は?(2021年3月6日投稿)

■基本情報(2022年8月12日時点)

  • 株価:2,002円(10年来高値:10,500円)
  • 時価総額:18.7億円
  • 予想PER:9.4倍
  • PBR:0.89倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:77.7%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:1,232人

■グラフィコの業績は?

 グラフィコの2022年6月期の売上高は41.1億円(前年比+0.4%増)、営業利益2.3億円(前年比△28.9%減)の増収減益。グラフィコの売上総利益率は+48.1%(前年は+48.8%)、営業利益率は+5.5%(前年は+7.8%)と悪化傾向となった。

 グラフィコの業績を四半期ベースでみると、2022年3Q累計は売上高29.6億円、営業利益2.2億円だったものの、2022年4Q累計は売上高41.1億円、営業利益2.3億円とほとんど利益がでていない。円安と原料高がグラフィコの利益モデルに大きくマイナスに作用しているようで、今期も大きくマイナスで影響しそうだ。

 足元の状況をうけて、業績予想は2Qで売上高24億円、営業利益1.5億円、年度で売上高43億円、営業利益1.7億円と非常に低い業績予想を出してきた。足元の業績が低迷しているので、2Qが低めで出すのであればわかるが、下期に利益がほとんど出ない理由がわからない。

■2023年6月期の戦略は?

 2023年6月期は下期にほとんど利益がでない業績予想を出しており、決算説明資料を読んでもよく理解できないだろう。オキシクリーンの値上げ、円安影響による売上総利益率の悪化、フェムテック市場(新規事業)向けの投資などを織り込んでいるということであるが、合理的な説明はない。

 グラフィコの製品セグメントをみると、オキシクリーンのハウスホールドは前年比+7.6%増と堅調、フェムテックのビューティケアは+17.2%増を計画する。ネットニュースなどでフェムテック製品の宣伝が目立つが、消費者をどこまで捕まえられるか見えない部分が多い。

■グラフィコの財務状況は?

 自己資本比率は77%と高いものの、現預金は3.1億円、棚卸資産(商品、材料)16億円と製品の売れ行きが悪さが目立つ。有利子負債は短期借入金2億円を新規で増やしている。

 棚卸資産が前年比で+6億円ほど増えており、予想以上に商品が売れていないことが予想される。2023年6月期のスタートはかなり厳しい状況になるかもしれず、すでに時価総額は20億円を割っているものの、もう少し下値を探るかもしれない。

■グラフィコの株価推移は?

 グラフィコの時価総額はたった19億円程度。株価指標的には割安で、この規模感の企業での利益額では高い。この時価総額の企業の場合、赤字企業も多い中で黒字を安定的に出しているグラフィコは優良企業に属するだろう。

 ただ、今期のスタートは厳しくなることが見えており、様子見が無難かもしれない。2025年までは既存事業の底上げ、新規販路開拓などの基盤固めで、2025年~2030年はM&Aや海外展開を含めた事業開発を計画している。ファブレスメーカーで実力はあるものの、アフターコロナの株価上昇の波に乗れず、上場後の高値から5分の1まで株価は下落。グラフィコの株価上昇に期待したいものの、いまは様子見といきたいところ。

(画像1)グラフィコの株価推移

以 上

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