フィリピンで英語講師を集めて日本人生徒に英会話の機会を提供するオンライン英会話ビジネスを展開しているレアジョブ。現在は英会話テスト「PROGOS(プロゴス)」の普及にも力を入れている。レアジョブの業績は売上高は伸びているものの、利益が増えない状況。今後の業績と株価の行方は?
マンツーマンのオンライン英会話を展開するレアジョブ!オンライン語学市場拡大の波に乗る(2021年3月14日投稿)
価格改定(値上げ)のレアジョブ英会話、英会話テスト「PROGOS」の行方は?(2022年10月22日投稿)
■基本情報(2023年2月24日時点)
- 株価:1,185円(10年来高値:3,145円)
- 時価総額:116億円
- 予想PER:36.1倍
- PBR:4.79倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:37.2%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:5,709人(2022年3月31日時点)
■レアジョブの業績は?
レアジョブの2023年3月期の第三四半期の売上高は43.6億円(前年同期比+5.6%増)、営業利益1.8億円(前年同期比△39.0%減)の増収減益。レアジョブの売上総利益率は+59.3%(前年同期は+58.9%)、営業利益率は+4.0%(前年同期は+7.0%)。
レアジョブの売上総利益は24.3億円→25.9億円と+1.6億円の増加。販管費は21.4億円→24.1億円と+2.7億円の増加となり、差し引きで△1.1億円の営業利益の悪化となった。
■資格スクエアの買収は?
レアジョブは2021年12月にクラウド会計大手のfreeeの子会社であるサイトビジットから司法試験や弁理士試験などの試験対策をオンラインで提供する「資格スクエア」を5.2億円で取得。当時の「資格スクエア」の事業規模が開示されていないものの、レアジョブにとっては2023年3月期は「資格スクエア」の売上高が1年間、モロにプラスに効いてきているはずだ。
その前提で現在の前年同期比+5.6%増にとどまっているため、レアジョブの成長が大きく鈍化していることがわかる。売上高は増えたものの、営業利益が増えていない理由として、決算説明資料では「資格スクエア社の子会社化の影響による人件費増や広告宣伝費増」をあげている。「資格スクエア」の業績が悪いのか、それともレアジョブ本体のオンライン英会話の業績が悪いのかわからない状況だ。
■販管費は増加に!
「資格スクエア」を買収した影響で、のれんの償却費が増加。また、人件費は前年比+1.3億円ほど増加している。四半期毎の売上原価・販管費の推移を見ると、講師報酬が少しずつ減少しているため、オンライン英会話の受講回数が減っていることが数値でわかる。いっぽう、固定費である人件費は増加したままになっている。
■英会話テスト「PROGOS」の進捗は?
決算説明資料では、優良企業への導入実績が広がっていると記載されているものの、現状は年間2.3億円の売上高にとどまる。TOEICに並ぶ英語テストに育てるのが構想であるものの、道のりはかなり長いだろう。PROGOS経済圏として、500億円~1,000億円の構想を持っているものの、具体的なロードマップは見えない。一応、2025年3月期には売上高10億円を目指している。将来的には100~200億円を目指している。
■レアジョブの財務状況は?
レアジョブの2022年12月31日時点の財務状況は、現預金は32億円、のれん7.8億円、投資有価証券10億円を計上している。いっぽう、有利子負債は約21億円、前受金は7.6億円となっている。資金繰りには受講料の前受などで余裕があるものの、財務的に余裕があるわけではない。
■レアジョブの株価推移は?
レアジョブの時価総額は約110億円。業績はそれほど良い状況ではないものの、年初来高値をつけている。YouTubeなどで英語学習の多様化が広がっており、レアジョブ以外のオンライン英会話もどんどん出ている。あらたに上場したプログリットはライザップに似た英語学習のコーチングサービスを提供している。
レアジョブはオーガニック(自然)な成長期は終了しており、現在はM&Aによる相乗効果(シナジー)の創出を意識している。レアジョブの売上規模は約70億円であり、これから業績が一気にのびる兆しは見えない。すでに株価の高値は一度つけているため、反発しても限定的な動きではないだろうか。
英語コーチングサービスのプログリット(PROGRIT)、法人研修市場の拡大がカギか?(2022年10月22日投稿)
以 上