居酒屋「わらやき屋」や「ステーキ五郎」などの飲食店(296店舗)やダーツバーなどの「BAGUS(バグース)」などアミューズメント(54店舗)などを展開しているDDホールディングス。新型コロナの感染拡大の影響を受けて、業績は危機的状態に。復活の兆しはあるのか?そして、業績と株価はどうなるのか?
■基本情報(2022年7月15日時点)
- 株価:560円(10年来高値:2,835円)
- 時価総額:103億円
- 予想PER:31.4倍
- PBR:2.2倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:13.6%
- 会計基準:日本基準
■DDホールディングスの業績は?
DDホールディングスの2023年2月期の第一四半期の売上高は73.5億円(前年同期比+76.6%増)、営業損失△3.4億円(前年同期は△21.6億円の赤字)。DDホールディングスの売上総利益率は+77.0%(前年同期は+77.2%)と高いものの、店舗運営などの固定費が販管費60億円の内数に計上されており、結果として営業赤字となっている。
DDホールディングスは、コロナ前から利益率が高いわけではなく、営業利益率は5%を下回って推移していた。しかも、M&Aに積極的で「のれん」が29億円計上されており、有利子負債は220億円ほどある。
■DDホールディングスの事業状況は?
DDホールディングスは、飲食の売上高比率は約7割、アミューズメントは約2割、ホテル・不動産が約1割という比率。全国主要都市に居酒屋、ダイニング、カフェなどを展開しており、DDホールディングスという会社名を知らなくても、いつのまにかDDホールディングス傘下の店舗を活用しているケースがあるはずだ。
アミューズメントは、ダーツ、カラオケが中心。ホテル・不動産は湘南を中心に展開している。
店舗数はコロナ前は飲食店406店舗(現在は296店舗)、アミューズメント56店舗(現在は54店舗)と飲食を中心に大幅に店舗数を減らしている。海外事業は2021年8月に撤退および債権放棄を決定。国内飲食事業のグループ会社zetton(ゼットン)は出資持分の一部を売却して保有率37.5%→12.6%に減少させている(結果として、連結決算から対象外となった)。
■苦戦するDDホールディングス
DDホールディングスはコロナ前から積極投資をしており、2020年2月の財務諸表をみると、現預金は80億円、有利子負債は約200億円とレバレッジをかけて投資を進めてきていた。「のれん」は45億円を計上していた。自己資本比率は18.2%とそれほど高くない中で、新型コロナによる大きなショックが発生した。
結果として、2021年2月期の決算では、売上高235億円(前年比△59.1%減)、営業損失97億円(前年は+28.5億円の黒字)と大きな損失を計上して、一気に債務超過に陥った。
■日本政策投資銀行からの50億円の増資
DDホールディングスは2022年1月に日本政策投資銀行から50億円の増資を受入れ、債務超過から脱却。この増資はA種優先株式というもので、配当率は年率4.0%に設定されている。つまり、年間2.0億円をかならず配当しないといけないもの。
加えて、DDホールディングスは2020年10月に第7回新株予約権(MSワラント)28.4億円を決議しており、これが行使される可能性がある。モルガンスタンレー証券に割り当てられており、モルガンスタンレー証券は直近取引日の4%引きで株式を購入できるというもの。
現在は財務状況は現預金90億円、有利子負債220億円という状況だ。現預金や差入保証金45億円など借入金の担保になっている。
■DDホールディングスの株価の行方は?
DDホールディングスの時価総額は約100億円。すでにコロナ前から店舗数を20%以上も削減しており、アフターコロナとなっても従来の業績に回復させるのは不可能だ。新たに飲食店を出店していくのは、かなり苦労を伴う見込み。
イメージ的にはコロナ前は、売上高570億円、営業利益28億円、営業利益率+4.9%だったため、店舗数を20%削減しているベースで考えると、売上高450億円、営業利益22億円くらいがマックスだろう。しかもA種株の配当が2億円あることと考えると、営業利益20億円前後と試算される。
飲食店のなかでも、串カツ田中はコロナ禍でも店舗数を増やしており、アフターコロナでの成長をイメージできるものの、DDホールディングスは悩ましいところ。
串カツ田中ホールディングス、コロナで揺れる業績と株価!(2022年7月16日投稿)
以 上