リーガルメディア運営のアシロ、転職・探偵メディアなど領域の多角化も進む!

 リーガルメディア「離婚弁護士ナビ」「刑事事件弁護士ナビ」など法律事件分野ごとの特化サイトの運営や転職メディア「キャリズム」、探偵メディアなどを運営しているアシロ(ASiRO)。2009年11月創業、従業員数は64名。ネットメディア事業を展開。アシロの業績と株価の行方は?

■基本情報(2023年5月2日時点)

  • 株価:700円(10年来高値:1,515円)
  • 時価総額:51億円
  • 予想PER:152.8倍
  • PBR:2.13倍
  • 予想配当利回り:1.94%
  • 自己資本比率:66.3%
  • 会計基準:IFRS基準
  • 株主数:5,334人(2022年10月31日時点)

■アシロの業績は?

 アシロの2023年10月期の第一四半期の売上高は6.9億円(前年比+41.5%増)、営業利益は79百万円(前年比△44.7%減)の増収減益。アシロの売上総利益率は+41.1%(前年は+54.8%)、営業利益率は+11.5%(前年は+29.5%)と大きく悪化している。

 アシロの売上総利益は前年2.7億円→2.8億円と+0.1億円の増加。いっぽう、販管費は前年1.2億円→2.0億円と+0.8億円の増加となり、営業利益は差し引きで大きく悪化している。売上高は+40%以上も伸びているものの、粗利率の悪化によって利益がでない構造になっている。成長重視であるものの、新規事業の立上げやM&Aによる嵩上げによる効果が目立つ。

■アシロの事業内容は?

 アシロはネットメディア事業をメインにしている。リーガルメディアとして弁護士特化型のサイトを構築して、月額課金で弁護士から料金を徴収する事業モデル。いわゆる「送客ビジネス」であるものの、弁護士から固定で枠を購入してもらう仕組みだ。

 派生メディアとしては、転職や探偵紹介サイトがある。こちらも送客ビジネスであるものの、成果報酬型のビジネスモデルとなっており、他の送客ビジネスと大きな違いはない。

 アシロの強みは自社で得たネットメディアのマネタイズのノウハウを同じような内容で横展開できる力だ。

■アシロのコスト構造は?

 アシロの決算説明資料をみると、コスト構造(売上原価・販管費)の推移をみると、全体で大きな割合を占めているのが広告費だ。いわゆる、ネットメディアに集客するために、自ら広告を打って集客している。売上高6億円くらいの会社が1Qで2.7億円の広告費を投入していることをみると、オーガニックな検索・SEOで集客がうまくいっていないことが予想できる。

 アシロの横展開するビジネスモデルは対象顧客(弁護士、人材会社など)とのつながりを維持しながら、サイトに集客することで送客手数料を得ることができるものの、そのサイト自体に大きな付加価値が生まれていないとも言える。今後もオーガニックで成長できるかは疑問点が残る。

■アシロの財務状況は?

 アシロの2023年1月末の財務状況をみると、現預金は13.1億円、のれん13.0億円と事業買収などで事業規模を拡大してきたことが財務諸表に表れている。有利子負債は5.5億円とそれほど大きくなく、財務的には健全だ。

 アシロのFY2022のキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+5.1億円のプラス、投資CFは△2.7億円のマイナスで子会社の株式取得△1.1億円などが影響している。財務CFは社債の発行などで+3.3億円のプラスとなり、現預金は+5.7億円の増となっている。

■アシロの株価推移は?

 アシロの時価総額は約50億円。企業買収で、のれんを大きく積み上げながら成長しており、経営陣の経営はうまい。上場にともない、約12億円を調達すると同時に株式の売り出しで既存株主は42億円を現金化している。

 会計基準にIFRS基準を採用しており、のれん13億円を減価償却しないため、表面上の利益は大きくプラスに見える。ただ、成長が鈍化して、減損リスクがあることに留意が必要だ。

(画像1)アシロの株価推移

以 上

 

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