法人向けSMS送信サービス「メディアSMS」のファブリカコミュニケーションズ、成長の行方は?

 法人向けSMS送信サービス「メディアSMS」や中古車販売事業支援クラウドサービスの「symphony(シンフォニー)」などを提供しているファブリカコミュニケーションズ(以下、ファブリカ)。収益性は悪くないものの、成長性の鈍化がみられ、株価は大きく下がっている。今後の業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2023年9月15日時点)

  • 株価:2,112円(10年来高値:5,240円)
  • 時価総額:112億円
  • 予想PER:12.6倍
  • PBR:3.51倍
  • 予想配当利回り:1.7%
  • 自己資本比率:68.6%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:1,134人(2023年3月31日時点)

■ファブリカの業績は?

 ファブリカの2024年3月期の売上高は19.4億円(前年比+17.4%増)、営業利益2.6億円(前年比+0.7%増)の増収増益。しかしながら、売上高の伸びに対して、営業利益の伸びが小さい。ファブリカの売上総利益率は+50.5%(前年は+52.7%)、営業利益率は+13.4%(前年は+15.6%)と利益率が悪化している。

 ファブリカの売上総利益は前年の8.7億円→9.8億円と+1.1億円の増加、販管費は前年の6.1億円→7.2億円と+1.1億円の増加となり、営業利益は差し引きで変動なく2.6億円となった。

■ファブリカの事業内容は?

 ファブリカは企業が顧客向けに発信できるSMS(ショートメッセージサービス)を展開しており、「メディアSMS」として展開している。このSMS事業は、ファブリカの全体の売上高の6割を占めており、営業利益も全社を牽引している。

 もう一つは、U-CARソリューションというもので、中古車販売に関する業務を一本化するためのSaaS「symphony(シンフォニー)」を提供している。顧客は中古販売店で、仕入、広告掲載、問い合わせ対応、商談などもこのサービスで対応できるようになっている。

 具体的にはデジタルトランスフォーメーションとして入力業務工数の削減などの効果がある。また、広告配信ではカーセンサー、クルマ選びドットコム、オークネットなど販売ルートに広告を打つことができる。現状、3,855社が「symphony」を導入しており、右肩あがりで増えている。売上高に占める90%は月額課金となっている。

■ファブリカの財務状況は?

 ファブリカの2023年6月30日時点の財務状況をみると、現預金は20億円、有形固定資産3.7億円、投資有価証券6.9億円となっている。負債は、有利子負債が約2億円となっており、税務的には健全だ。ファブリカの利益剰余金は19億円で、利益が大きく伸びたのはここ数年の話。

 ファブリカは2021年4月にジャスダックに上場。上場時に約8億円ほどの資金調達に留まるものの、売出株で27億円ほど既存株主が現金化している。上場時の初値ベースで時価総額は150億円(現在は約110億円)。

■ファブリカの株価推移は?

 ファブリカの時価総額は約110億円。成長性と利益率を考えると、時価総額200億円くらいでもおかしくない。株価が大きく下がっている要因は、成長性の停滞だ。四半期比で業績をみていくと、現在は四半期推移で前期割れをしており、成長性に陰りがみられる。この停滞が一時的なものか、代替サービスなどが台頭したり、価格競争に負けていないだろうか。

 ファブリカの2024年3月期の予想1株純利益(EPS)は167.25円。予想PERを20~30倍で計算すると、予想株価は3,300円~5,000円くらいになる。しかしながら、業績未達の可能性もあるので注意が必要だ。

(画像1)ファブリカの株価推移

以 上

 

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