電気自動車向けEV充電設備の日東工業、次世代の標準となるか?

 さまざまな施設などの電気系統を制御する配・分電盤、制御盤などの製造販売や設置・保守などをおこなっている日東工業。電気関係の設備や工事を強みとしている企業だ。日東工業はEV(電気自動車)向けの充電設備に参入しており、この設備ではリーディングカンパニーのひとつ。日東工業の株価と業績の行方はどうなるのか?なお、日東工業と日東電工は会社名が似ているが異なるので注意が必要だ。

■基本情報(2022年5月27日時点)

  • 株価:2,134円(10年来高値:2,933円)
  • 時価総額:863億円
  • 予想PER:12.0倍
  • PBR:0.81倍
  • 予想配当利回り:8.29%
  • 自己資本比率:79.7%
  • 会計基準:日本基準

■日東工業の業績は?

 日東電工の2022年3月期の売上高は1,327億円(前年比△3.7%減)、営業利益86.4億円(前年比△30.0%減)の減収減益。日東工業の売上総利益率は+27.3%(前年は+28.3%)、営業利益率は+6.5%(前年は+8.9%)と一般的なメーカーの水準と言える。

 日東工業の売上総利益率が落ちているのは原材料価格高騰の影響が大きい。今後は値上げを実施し、顧客に価格転嫁していくことを公表しており、確実に価格転嫁できるかがポイントになる。受注と売上のタイミングがずれるため、値上げに合意をしても実際に業績に効いてくるのは2022年半ばになるだろう。

■日東工業の事業内容は?

 日東工業は電気系統の設備である配電盤や分電盤のメーカーで設置・保守までカバーしているメーカだ。2024年4月稼働予定の瀬戸工場を新設しており、事業規模の拡大は着実に進んでいる。電気と情報のインフラ製品を製造しているメーカーであり、必要とされるニーズがなくなることはないだろう。

■日東工業が注目される理由は?エネチェンジとの協業

 日東工業が注目される理由は、エネチェンジと業務提携して進めているEV充電設備ビジネスがあるからだ。電気自動車やプラグインハイブリッド自動車向けの充電設備を日東工業は製造しており、2022年3月にエネチェンジと業務提携を発表。

エネルギーテックのエネチェンジ、EV充電設備の普及が成長のカギか!?(2022年5月29日投稿)

 エネチェンジは2021年11月からEV充電器設置サービスを開始し、2027年までに約3万台の設置を目指している。日東工業が製造したEV充電器をエネチェンジが購入し、日東工業が設置するというビジネスモデルで、電気自動車が普通に普及する時代には大きなビジネスになっている可能性がある。ただし、現時点の日東工業の事業規模は公表されておらず、将来的にどのくらいの売上規模になるか発表されていない。

■EV充電器への期待!

 将来的にはガソリン車がなくなり、電気自動車(EV)が主流になると見られている。自動車メーカー各社も電気自動車の開発に力を入れており、ガソリン車にあったエンジン自体がなくなるため、自動車部品メーカーの大きな再編になると見られている。

 EV充電は普通充電(出力3.2kW)、普通充電(出力6.0kW)、急速充電(出力50.0kW)の3つがあり、普通充電は4~15時間くらいかかる。いっぽう、急速充電は15~60分くらいとなっている。それぞれ自動車車種ごとに異なる。

 EV充電器普及に向けて、充電機本体は半額または全額が補助金の対象となっている。工事費用は全額が補助金対象になっており、日東工業としては大きなチャンスである。充電設備は1台あたり18~30万円の価格帯で、その半額か全額が補助金の対象となる。急速充電器は数百万円の価格帯となっている。なお、日東工業は急速充電器を扱っていない。

■電気自動車(EV)のメリットは?

 電気自動車は温暖化ガスを排出しないなど環境面で普及を促されている。経済的なメリットとしては、月間800km走行する場合、ガソリン車は月額8,000円かかるところ、電気自動車は2,858円ですんでしまう。もちろん、電気自動車本体がガソリン車よりも高いという問題はある。

■日東工業の株価推移は?

 日東工業の時価総額は約850億円。日東工業は配当性向を30%→100%に変更したため、予想配当利回りは8.0%を超えている。まだまだ割安感が大きい。自己資本比率は約80%で、現預金を約300億円もっている(有利子負債はゼロ)。

 2023年3月期は当期純利益67億円(1株あたり176.65円)の利益を予定しており、そのすべてを配当に回す計画を発表している。毎年、営業キャッシュフローを約100億円稼いでいる企業のため、積極的に配当や自社株買いに回し、株価を上げていく戦略だ。

 EV充電器ビジネスがヒットすれば、ますます成長する可能性がある。日東工業は設備を作っているだけでなく、工事や保守まで担っているのが大きな強み。今後も期待したい。どこかで電気自動車関係で注目される可能性も高いだろう。

(画像1)日東工業の株価推移

以 上

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