有料老人ホーム運営のアンビスホールディングス、難病患者のホスピス!

 難病患者向けのホスピスであるい医心館を主に運営しているアンビスホールディングス(以下、アンビス)。2024年11月にシフトチェンジとして利益重視の経営から人材面などの充実によるサステナブルな長期持続的な成長を目指す方針に転換し、株価は一気に下落。2025年3月に診療報酬の不正請求のニュースが流れ、特別調査委員会が設置された。社会的には必要とされる末期患者へのホスピスサービス。今後のアンビスの事業の行方は?

■基本情報(2025年8月8日時点)

  • 株価:525円(10年来高値:3,840円)
  • 時価総額:515億円
  • 予想PER:8.8倍
  • PBR:1.51倍
  • 予想配当利回り:0.76%
  • 自己資本比率:45.9%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:9,308人(2024年9月30日時点)
  • 事業価値:696億円

■アンビスの業績は?

 アンビスの2025年9月期の第一四半期の売上高は117億円(前年比+23.5%増)、営業利益20.1億円(前年同期は+26.4億円)の増収減益。アンビスの売上総利益率は+34.2%(前年は+41.5%)、営業利益率は+17.1%(前年は+27.6%)と高いものの、前年割れしている。

 アンビスの売上総利益は前年の40億円→40億円と横ばい、販管費は13億円→20億円と+7億円の増加となっている。シフトチェンジによる影響を決算説明資料で推測すると、人件費は前年同期の43億円→58億円と+15億円の増加、地代は7億円→11億円と+4億円の増加など人件費の大きな伸びがある。

 アンビスの従業員数は4,046名(2024年9月末時点)であるものの、公表されている年収は対象従業員数114名で、平均年収は603万円となっている。おそらく、アンビスホールディングスの本社を中心とした正社員のみではないだろうか。なお、離職率は30%前後で推移しており、100名のうち、1年以内に30人が退職するという職場だ。

■アンビスの事業状況は?

 アンビスはいわゆる有料老人ホームのホスピス「医心館」を中心に133施設を展開している。定員数は6,800名。利益モデルとしては、医療保険売上高(訪問看護サービス)が全体の6割、介護保険売上高が全体の3割、家賃管理費などで全体の1割となっている。

 いま話題となっている診療報酬の不正請求のインパクトがどのくらいあるか不明であるものの、売上高の約9割を占める対象に影響がある。これまでの高収益のホスピス経営が一気に崩れるリスクがある点に注意が必要だ。シフトチェンジに舵を切った背景には、看護・介護の人材不足があるのではないだろうか。「医心館」は全国で133施設あり、首都圏のドミナント展開を戦略としている。

■アンビスの財務状況は?

 アンビスの財務諸表をみると、現預金は74億円、有形固定資産が518億円と土地、建物、リース資産などが大きい。負債をみると、有利子負債が255億円あり大半を占める。純資産は337億円とあり、自己資本比率46%と健全であるものの、不正請求の影響により今後の業績の行方に不安が残る。

■アンビスの株価推移は?

 アンビスの時価総額は約500億円。シフトチェンジ発表後、株価は3分の1以下まで下落している。すでに上場時の株価水準まで下落しており、株価指標的には割安感がある。いっぽうで、不正請求のインパクトが分からず、売上高の9割にどのような影響がでるか見えない。

 有料老人ホームの市場は成長市場に見えるものの、業績を支えているのが診療報酬という点は他社含めて変わらない。日本社会でさらなる社会保障の負担を支えることができるのか論点があり、チャームケアのように家賃などの報酬に移行が必要ではないだろうか。

介護付有料老人ホーム運営のチャーム・ケア、介護事業は堅調!

以 上

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