広告を効率的に実施するためのデータプラットフォーム「UNIVERSE」やデジタルサイネージへの広告発信など自社プロダクトを中心に広告事業を展開しているマイクロアド(MicroAd)。2023年3Qでデータプロダクトの「UNIVERSE」の売上高が四半期比で減収し、株価は下落傾向に。グロース企業の成長鈍化は株価に大きな影響をもたらす。今後の業績と株価の行方は?
■基本情報(2023年9月15日時点)
- 株価:2,142円(10年来高値:6,790円)
- 時価総額:196億円
- 予想PER:27.9倍
- PBR:6.39倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:47.6%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:6,035人(2022年9月30日時点)
■マイクロアドの業績は?
マイクロアドの2023年9月期の第三四半期の売上高は100億円(前年比+10.7%増)、営業利益8.2億円(前年比+45.4%増)の増収増益。マイクロアドの売上総利益率は+32.2%(前年は+31.0%)、営業利益率は+8.1%(前年は+6.2%)と改善傾向になっている。
マイクロアドの売上総利益は前年の28.2億円→32.5億円と+4.3億円の増加、販管費は22.6億円→24.3億円と+1.7億円の増となり、差し引きで営業利益は+2.6億円の改善となった。
■マイクロアドの事業内容は?
マイクロアドは、コンサルティング事業と自社のデータプロダクト事業の2つを主に行っている。ほぼ売上高は半々となっており、自社のデータプロダクト事業の粗利が+40%前後、コンサルティング事業は粗利+20%前後となっており、現在はデータプロダクト事業に注力している。
データプロダクト事業の柱は、データ保有企業からデータを仕入れて、自社の「UNIVERSE」というプラットフォームで分析したデータを顧客(広告主)に提供する事業がメイン。現在は、「UNIVERSE」のデータを19業種に分解して製品化して顧客に提供している。主に、医薬品・成約、飲料・食品、自動車、エンタメ、新NISA関係の金融などが顧客。
■ネットワーク化したデジタルサイネージ!
自社プロダクトのもう一つの柱は、「デジタルサイネージ」だ。約13万面のサイネージ(広告配信用の画面)をネットワーク化して、一元的に広告配信できるサービス。ドラッグストア、スーパー、美容院、ネイルサロン、タクシー、屋外ビジョンなどに広告掲載料を支払い、サイネージを設置。あとは顧客(広告主)からお金をもらって、広告を配信するサービスだ。
しかしながら、こちらも四半期比で比較すると、売上高が大きく減少。タクシーサイネージの契約更改がうまくいっていないことが大きな影響だ。
■マイクロアドの株価推移は?
マイクロアドの時価総額は約200億円。高値からすでに3分の1まで下落。自社プロダクトの業績の落ち込みが痛い。投資家としても、成長企業の自社製品の業績が大きく落ち込むと、なかなか投資できない。すでに高値から3分の1まで下落しており、個人投資家のナンピン買いが多く出て、含み損を抱えた投資家が増えていると思われる。
マイクロアドの2023年9月期の業績予想をみると、1株あたりの当期純利益(EPS)は78円。予想PERを20~30倍で考えると、予想株価は1,600円~2,400円くらいになる。現在の株価2,140円が決して割安なわけではない。当面は様子見が無難か。
以 上