独立系システムインテグレーターのオービック(4684)、株価上昇が止まらない!

 企業のERPシステム(統合基幹業務システム)のサービスを提供しているオービック。2020年3月期の売上高は805億円(前年比+8.5%)、営業利益432億円(前年比+14.0%)、営業利益率はなんと50%を超える超高収益企業のひとつ。時価総額は1.8兆円を突破し、2014年からはじまったアベノミクス以降、株価は5倍を超える上昇となった。オービックの株式市場での快進撃はいつまで続くのか?

■基本情報(2020年6月5日時点)

  • 株価:18,400円
  • 時価総額:1.8兆円
  • 予想PER:46.4倍
  • PBR:6.86倍
  • 予想配当利回り:0.86%

■オービック、どのような事業をしているのか?

 かつては「コンピュータのオービック」と言われ、もともとは「株式会社大阪ビジネス」という会社名で1968年に創業。オービックは、コンピュータ、システム関連の老舗のITサービス企業だ。2020年3月期のオービックの売上高は805億円(前年比+8.5%)、営業利益432億円(前年比+14.0%)、営業利益率はなんと50%を超える超高収益企業のひとつ。

 オービックは、売上高が数百億円規模になっても、毎年+10%くらい成長している超優良企業だ。なぜオービックは成長をつづけられ、利益をしっかり稼ぐことができるのか?オービックはIR(投資家情報)に力を入れておらず、決算短信、有価証券報告書などの法律で要求される開示資料はほとんどつくっておらず、オービックのビジネスモデルはわかりにくい。

 オービックはERPとよばれる企業の基幹システムを構築・保守している。現在は統合業務ソフトウェアとして「OBIC7」を展開していて、会計、人事、給与計算、採用、採用、生産、設計など多分野にわたるシステムを提供している。中小企業の場合は、仕様が決まっているパッケージソフトでよいものの、中堅企業より大きくなると自社に最適なシステムを構築する必要性がでてくる。

 そのような企業に対して、システム構築、導入、保守を提供しているのがオービックだ。同業他社としては、NTTデータ、伊藤忠テクノソリューションズ、SCSK、大塚商会など。

■中堅以上はオービック、中小はOBC!

 15年くらい前からは企業のシステム部門を外部にアウトソーシングする世の中の流れが広まった。その時代の流れを追い風に、オービックなどのシステムインテグレーター(システムの構築、導入、保守までサポートする会社)は成長をつづけている。システム構築は基本的に人件費。不必要な生産設備などの固定資産を保有する必要がなく、オービックの固定費は低い。

 オービックの損益分岐点は低く、売上高をしっかり確保できれば高い利益をたたきだすことができる。オービックの顧客は年間売上高100億円以上の会社が約7割。基本的に中堅以上の会社を相手にビジネスを展開している。中小企業に対しては、連結子会社であるオービックビジネスコンサルタント(OBC)が「奉行(ぶぎょう)シリーズ」というパッケージソフトを提供している。

 このオービックビジネスコンサルタントも売上高300億円、営業利益130億円と高収益率の会社だ。正確には、オービックの連結決算にオービックビジネスコンサルタントの業績は内数としてカウントされている。オービックグループとしては、独立系システムインテグレーターといわれているものの、中小企業から大手企業までサービスを提供できる体制を構築している。

■オービックの株価推移は?

 オービックの株価は右肩あがりつづけている。いったい、どこまで上昇するのか?たしかに、オービックは毎年、成長をつづけているものの、時価総額はすでに1.8兆円規模まで拡大。ここ数年は、システムのクラウド化による更新需要と重なった。

 株価指標的には、PERは45倍を超えており、少し過熱気味。どこまで上昇するかわからないものの、上昇余地よりも下落する可能性のほうが高い。単元株100株を購入するには180万円ほど必要なため、個人投資家の購入はかなり少ない。当面は様子見が無難だ。

以 上

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