伊藤忠と合弁設立のロコンド、Reebok日本事業の行方は?

 靴を中心としたECサイトを展開しているロコンド。2022年5月12日に伊藤忠商事と合弁で会社を設立して、Reebok(リーボック)事業を譲受して事業をはじめると公表があった。オーガニック(自然)成長が止まっているロコンドにとっては、成長のカギになるか重要な意思決定。ロコンドの株価と業績の行方はどうなるのか?

靴の通販サイト展開のロコンド、成長が大幅鈍化!今後の行方は?(2022年1月16日投稿)

■基本情報(2022年5月20日時点)

  • 株価:999円(10年来高値:4,180円)
  • 時価総額:115億円
  • 予想PER:18.4倍
  • PBR:2.37倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:68.1%
  • 会計基準:日本基準

■ロコンドの業績は?

 ロコンドの2022年2月期の商品取扱高(GMV)は212億円(前年比+3.2%増)、売上高98.8億円(前年比△3.9%減)、営業利益+8.8億円(前年比△38.6%減)の減収減益。ロコンドの売上総利益は+79.7%(前年は+75.0%)、営業利益率+8.9%(前年は+14.0%)。

 ロコンドの売上高は取扱高のうち、買取販売は全額が売上高計上、代行販売は手数料を売上高計上しているため、買取と代行販売の構成比率が変化しているため、売上高で事業成長をみても意味がない。よって、商品取扱高(GMV)で考えるのが妥当。

 商品取扱高(GMV)に対する売上総利益率は+37.1%(前年は+37.5%)、限界利益率は+15.6%(前年は+17.2%)と若干悪化傾向。固定費が24.3億円と前年の21.0億円よりも約3.3億円悪化している。それほど商品取扱高(GMV)が増えていないものの、巨大な倉庫を借りている影響で固定費が大きく増えている。

■販管費の内訳、固定費が増加!

 販管費の内訳をみると、人件費が12.4億円(20年度)→14.4億円(21年度)、地代(倉庫レンタル代がメイン)が6.8億円→9.3億円と+2.5億円の増加となっている。

 ロコンドの課題は、商品取扱高(GMV)が前年比+3%しか増えていないものの、固定費が前年比+15%も増加していること。事業成長を見越して巨大な倉庫を借りたものの、商品が埋まらない状況がつづいていることが大きな課題。

■Reebok事業の譲受、伊藤忠とのコラボは?

 ロコンドの成長戦略の1つとして、2022年5月12日に伊藤忠商事と合弁会社(ロコンド:66%、伊藤忠:34%)を設立して、アディダスジャパンからReebok日本の事業を譲受することが発表された。直営店舗9店舗も継承する。売上規模は年間100億円と公表されており、ロコンドの売上規模が一気に増加する見通しだ。

 ただ、心配されるのは、Reebokは昔から日本で販売されているブランド。5年後に売上規模を200億円にする計画を立てているものの、簡単に成長していないブランドの売上規模を倍にできるのか疑問点はある。

■ロコンドの中計は?

 ロコンドは中期経営計画も発表した。2023年2月期は売上高255億円、営業利益上限10億円、営業利益率+3.9%、2024年2月期は売上高325億円、営業利益上限17.5億円、営業利益率+5.4%、2025年2月期は売上高400億円、営業利益上限23.5億円、営業利益率+5.9%と営業利益率が低いのが気になる。

 中計骨子で記載されているが、(業績については、)ROE10%を下限として、それを上回る部分は積極的に投資(広告費など)に投資していくと予防線を張っていることも気になる。

■ロコンドの株価推移は?

 ロコンドはユーチューバーヒカル氏を起用したD2Cブランド戦略がヒットして、コロナ後に株価は一時的に4倍以上に跳ね上がった。そこから下落トレンドがつづいている段階で、どこで反転するか見えない水準。

 上場時にくらべると、事業規模は大きくなり、赤字体質からも脱却しているものの、低成長に陥っていることが大きな課題。しかしながら、IPO時の1株あたりの公募価格925円、上場初値1,312円(いずれも株式分割考慮)と株価は大きな違いがないため、2017年3月の上場時よりも割安感が出ているのは事実だ。

(画像1)ロコンドの株価推移

以 上

 

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