スタートアップ企業(ベンチャー企業)の人材支援を中心に成長をサポートするサービスを提供しているフォースタートアップス(for Startups)。事業規模は売上高33億円と小さいものの、支援したスタートアップ企業の成長にともない、将来的な事業領域の拡大などが期待できる企業。今後の株価と業績の行方は?
■基本情報(2023年10月27日時点)
- 株価:1,841円(10年来高値:6,610円)
- 時価総額:65億円
- 予想PER:27.2倍
- PBR:3.56倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:67.0%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:1,493人(2023年3月31日時点)
■フォースタートアップスの業績は?
フォースタートアップスの2024年3月期の第一四半期の売上高は7.3億円(前年比+2.9%増)、営業利益1.0億円(前年比△38.0%減)の増収減益となった。フォースタートアップスの売上総利益率は+84.8%(前年は+82.5%)、営業利益率は+13.8%(前年は+23.0%)と悪化。
フォースタートアップスの売上総利益は前年の5.9億円→6.2億円と+0.3億円の増加、販管費は4.2億円→5.2億円の+1.0億円と増加し、差し引きで△0.7億円の悪化となった。売上総利益が伸びているものの、それ以上に販管費が増加しており、利益を圧縮している。
■フォースタートアップスの事業内容は?
フォースタートアップスはスタートアップ企業の支援をメインド領域にしている。具体的には、成長企業・経営層に特化した人材エージェント事業がメインだ。また、オープンイノベーション事業やベンチャーキャピタル事業をしているものの、まだまだ規模は小さい。
人材エージェント(タレントエージェント)事業の顧客は、SmartNews、ANDPAD、SmartHR、Timee(タイミー)、READYFORなど有名な未上場企業が名前を連ねている。支援中に上場した企業としては、メルカリ、ラクスル、ヤプリ、Sansan、メドレー、プレイドなど数多くある。しかしながら、この1年間は売上高が横ばいとなっており、成長の軌道にのっていない。結果として、売上高の前年同期比での伸びは1ケタ台でとどまっている。
■オープンイノベーション事業とは?
フォースタートアップスのオープンイノベーション事業はわかりにくい。自社で保有する「STARTUP DB」(データベース)の利用料をとったり、資金調達支援などを実施している。ただし、継続的に成長できる事業化と言われると悩ましい。スポット的なコンサルティング事業のような位置づけではないだろうか。
地方公共団体の浜松市、関西広域連合、広島県、愛知県、大阪府などからも受託しているものの、地方公共団体の予算は限られるし、どこまで対象を増やせられるかが課題だ。
■フォースタートアップスの財務状況は?
フォースタートアップスの2023年6月30日時点の財務諸表をみると、現預金は15.3億円、営業投資有価証券は4.6億円となっている。負債は、有利子負債が38百万円とシンプルな形。利益剰余金は13.8億円あり、財務的には健全だ。
フォースタートアップスは2020年3月13日に東証マザーズに上場。上場時に約4.5億円を調達したのみで、それほど資金調達していない。そもそも、フォースタートアップスは東証プライムに上場しているウィルグループの子会社。ウィルグループは時価総額250億円、年間売上高1,440億円、営業利益42億円を稼ぐ、企業グループ。ウィルグループが全体の54%くらいのフォースタートアップスの株式を所有している。
■フォースタートアップスの株価推移は?
フォースタートアップスの時価総額は約65億円。成長性が鈍化しており、株価は半値くらいまで下がる可能性がある。グロース関係の投資は鈍っており、事業を閉じる企業もこれから出てくるのではないだろうか。
資本政策で出資を受けられず、負債で資金を調達しているところは金利上昇などで厳しい状況に追い込まれるスタートアップ企業もでてくるはずだ。
以 上