旅行需要回復のベルトラ、出国日本人は2019年レベルまでもう少し!

 海外の現地ツアーを中心にインターネットで予約できるサイト「ベルトラ」を運営するベルトラ。昔は「Alan1.net」という名称でサイト運営されていたものの、2012年に「ベルトラ」に名称変更。コロナ蔓延により海外旅行需要が消失し、ようやく2019年レベルの62%まで出国日本人数は回復。訪日外国人は2019年レベルを+6.3%上回るレベルまで成長。今後のベルトラの業績と株価はどうなるのか?

海外旅行の現地ツアー仲介のベルトラ(7048)、コロナ禍での戦略は?(2020年7月18日投稿)

■基本情報(2024年6月28日時点)

  • 株価:422円(10年来高値:1,850円)
  • 時価総額:154億円
  • 予想PER:58.4倍
  • PBR:8.27倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:23.4%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:10,348人(2023年12月31日時点)
  • 事業価値:113億円

■ベルトラの業績は?

 ベルトラの2024年12月期の第一四半期の売上高は9.8億円(前年比+80.4%増)、営業利益27百万円(前年同期は△90百万円の赤字)と増収黒字転換となった。ベルトラは売上総利益を算出していないため、粗利レベルは不明。

 ベルトラの営業費用は前年の6.3億円→9.5億円と+3.2億円の増加となっているものの、事業規模と営業費用が比例して増える構造のため、比較しても意味がない。

 ベルトラの2024年12月期の業績予想は、売上高54.7億円、営業利益3.5億円、営業利益率+6.4%。コロナ前の2019年12月期は売上高43.5億円、営業利益7.7億円、営業利益率+17.7%だったため、事業規模は大きくなったものの収益性が大きく落ちている。

■ベルトラの事業状況は?

 ベルトラの事業は海外旅行事業が全体の約6割。国内旅行事業は7%くらいしかない。LINKTIVITY(リンクティビティ)という子会社(ベルトラ出資率94.2%、NTT西日本5.8%)が日本国内の旅行関係のデジタルサービス(予約システム、E-Ticketなど)を提供していて、全体の18%の売上高を占めている。

 海外旅行は日本出国者数が増えているものの、四半期推移でみると横ばいになっている。円安と物価高による単価上昇が旅行意欲をそいでいると言えるだろう。国内旅行も波はあるものの、現時点では横ばいとなっている。

 ベルトラのなかで成長しているのは、鉄道・施設チケットなどデジタルサービスを提供しているLINKTIVITYだ。前年同期比+108%で成長している。契約社数は前年の221社→482社に大きく増加、販売チャネルも245社→365社と大きく増加している。

■ベルトラの成長投資!

 ベルトラは2019年比で業績は悪化しているものの、決算説明資料のなかで成長投資をキーに説明している。現在の2024年12月期の業績予想は売上高54.7億円、営業利益3.5億円であるものの、成長投資を除くと、売上高は51億円、営業利益8.1億円であると説明している。成長投資は2025年12月以降に投資効果がでてくる説明となっている。

 具体的な成長投資の内容は、合計で7.8億円。認知度向上4.5億円、ユーザー活用改善1.2億円など。

■ベルトラの企業間連携

 ベルトラはファン100万人達成に向けてパートナーシップを強化している。チケットプラットフォームでは、アソビュー、Tiqets、グッドフェローズなどと連携。B2Bではジェットスター・ジャパン、スカイマーク、JTB、テーブルクロスなどと連携している。

■ベルトラの財務状況は?

 ベルトラの2024年3月31日時点の財務諸表をみると、現預金は46億円、営業未収入金24億円となっている。負債をみると、有利子負債は5億円。営業未払金が32億円、前受金17億円となっている。財務的には健全だ。利益剰余金のマイナスが△26億円あるため、当面、利益がでても法人税の支払いは不要になるだろう。

 ベルトラは2020年12月にオープンドアが15億円の第三者割当増資をしている。2024年1月にJTBがベルトラに5億円の第三者割当増資を実施。旅行関係の会社と連携を強化している。

■ベルトラの株価推移は?

 ベルトラの時価総額は約150億円。コロナ前は一時、時価総額500億円あったときもあり、大きく損失を負っている株主もいるかもしれない。コロナショックで株価が下落してから4年が経過し、含み損をかかえている株主は一掃された可能性はある。

 現在のベルトラの事業価値(EV)は約110億円。稼ぐ力を表すEBITDAは年間で4~5億円と考えると、EV/EBITDA倍率は20倍前後。EBITDAが10億円くらいになると想定すると10倍前後まで下がる。現在の株価はEBITDAが10億円くらいまでは織り込んでいると言えるだろう。つまり、割安ではないし、割高ではない。今後の業績をどう考えるかで四半期決算に引き続き、注目したい。

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする