課金ID数の伸びが鈍化、kubell(旧チャットワーク)の業績は?

 グループウェアの「チャットワーク」を展開しているkubell(旧Chatwork)。導入社数は93.6万社(前年比+12.5%増)と多いものの、Chatworkの課金ID数は82.2万(前年比+9.0%)と1ケタまで成長鈍化。今後の業績と株価の行方はどうなるのか?

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■基本情報(2025年8月8日時点)

  • 株価:520円(10年来高値:2,624円)
  • 時価総額:219億円
  • 予想PER:87.2倍
  • PBR:13.81倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:28.1%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:10,178人(2024年12月31日時点)
  • 事業価値:196億円

■kubellの業績は?

 kubellの2025年12月期の第二四半期の売上高は45.3億円(前年比+13.4%増)、営業利益1.5億円(前年同期は+27百万円)の増収増益。kubellの売上総利益率は+66.8%(前年は+67.7%)、EBITDAは+12.8%(前年は+7.8%)となっている。

 kubellはEBITDAで営業で稼ぐ力を見せようとしているように見えるものの、ソフトウェア企業の償却費はほぼ人件費であり、本来は経費として計上してもおかしくない。よって、営業利益で実力値を見るほうがよいのではないだろうか。

 kubellの売上総利益は前年の27億円→30億円と+3億円の増加、販管費は27億円→29億円と+2億円の増加となり、営業利益は+1億円の増加となった。

■kubellの事業状況は?

 kubellは2004年11月設立のソフトウェア企業で、設立から約20年となった。従業員数は2025年6月末時点で639名。ビジネスチャット「Chatwork」やチャット経由での業務請負サービス(BPaaSという)を展開している。2024年度の連結売上高は85億円。

 2019年に東証マザーズに上場してから6年が経過するが、ようやく売上高80億円を突破。導入社数は93万社を超えたものの、課金ユーザの獲得に苦戦していると言えるだろう。フリーミアム戦略で、無料ユーザから課金ユーザへの展開を図っているものの、登録ID数775万に対して課金ID数は82万と全体の10.6%が課金している状況だ。

■Chatworkの料金は?

 Chatworkの月額利用料はビジネスプランで月額700円(月額契約は840円)、エンタープライズプランは月額1,200円(月額契約は1,440円)となっている。

 競合となるSlackは月額925円または1,920円、Microsoft Teamsは月額599円または825円、1,100円となっている。価格面でChatworkの競争力はない。

 Chatworkで悩ましいのは、ビデオ通話が最大14人までとなっている点だ。Slackのエンタープライズプランなら最大1,000名、Teamsのエンタープライズプランも最大1,000名まで接続可能だ。そのため、大手企業ではSlackやTeamsを活用するケースが多い。なお、Teamsでは無料プランでも最大100名までビデオ会議が可能だ。

■kubellの株価推移は?

 kubellの時価総額は約220億円。売上規模は成長しているものの、期待したほど成長性がなく株価は低迷している。売上高100億円を超えることがなかなかできず、新しくM&Aで買収したMINAGINEを加えても100億円に届かず。

以 上

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