赤字の成長戦略はいつまで?Chatworkの黒字化に期待する株主たち!

 グループウェアの「チャットワーク」を展開しているChatwork。成長性は前年比+40%ほどと高いものの、赤字は継続してつづいている。2004年11月11日設立、従業員数は442名。リモートワークなどが活性するなか、高い成長と期待があるものの、黒字化が見えない。今後の業績と株価の行方は?

SaaS型のビジネスチャット「チャットワーク」運営のChatwork、成長つづくも赤字継続!(2023年4月1日投稿)

ビジネスチャット「Chatwork」展開、SaaS型ビジネスで将来は明るい!?(2022年10月8日投稿)

■基本情報(2023年11月10日時点)

  • 株価:824円(10年来高値:2,624円)
  • 時価総額:332億円
  • 予想PER:赤字
  • PBR:13.12倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:38.5%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:12,435人(2022年12月31日時点)

■Chatworkの業績は?

 Chatworkの2023年12月期の第三四半期の売上高は売上高46.1億円(前年比+39.3%増)、営業利益△6.8億円(前年同期は△4.7億円)の増収赤字幅拡大となった。Chatworkの売上総利益率は+62.9%(前年は+70.2%)と大きく悪化している。

 Chatworkの売上総利益は前年の23.3億円→29.0億円と+5.7億円の増加、販管費は前年の28.0億円→35.8億円と+7.8億円の増加となり、営業利益は△2.1億円のマイナスとなった。

■Chatworkの事業状況は?

 Chatwork自体は堅調に推移している。売上高は前年比+40%を超える水準で成長しており、登録ID数は前年同期比+15.6%増。1日当たりのアクティブユーザ数も前年同期比+7.7%増となっている。課金IDは72.4万と前年比+19.4%増、課金IDの伸び以上に売上高が伸びているのは2023年7月3日より価格改定をしているからだ。その価格改定は30%~40%の値上げとなっている。

 価格改定あったものの、四半期ベースで見ても赤字がつづいている。Chatworkは広告宣伝費が年間で10億円もない規模であり、まだまだ規模感の拡大がないと黒字化が見えてこない。

 Chatworkの従業員数は右肩あがりで増加しており、現在は442名と前年同期の304名から大幅に増加している。Chatworkは離職率が高く、現在は約15%くらいの離職率となっている。そのため、四半期ベースで30名ペースで新規採用を継続している。正直、離職率は高いレンジだ。

■Chatworkの財務状況は?

 Chatworkの2023年9月30日時点の財務諸表をみると、現預金は17億円、前払費用7.7億円、のれん10.6億円(2022年12月末:2.8億円)となっている。負債は、有利子負債が約14億円、契約負債(前受金)が13.4億円となっている。財務的には健全だ。

 Chatworkは2022年12月に人事・労務管理システム事業(給与計算アウトソーシング事業など)をしているミナジンを10億円で買収している。のれんの大きな増加要因としては、ミナジンの買収と思われる。よって、Chatworkの成長性を考えると、前年からミナジンの売上高が純粋にプラスになっている。なお、ミナジンの売上高は年間5億円規模。

■Chatworkの株価推移は?

 Chatworkの時価総額は約330億円。成長性が大きく鈍化すると、時価総額が半分になってもおかしくない。ミナジンとChatworkの事業シナジーがどこまであるか不明であるものの、ビジネスチャット「チャットワーク」だけの成長性ではないので、誤解しないように注意が必要だ。

(画像1)Chatworkの株価推移

以 上

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