業績悪化のクックパッド(cookpad)、そもそも業績拡大に興味がない?

 レシピサイトを運営しているクックパッド(cookpad)。2022年8月12日に決算を発表したものの、売上減、赤字拡大と厳しい状況がつづいている。そもそも、解決するための施策すらうっていないように思える。過去の利益の蓄積により自己資本は200億円ほどあるため、あと10年近くはこのままでも耐えることができそうだが、クックパッドの未来はどうなるのか?

料理レシピサイトを運営するクックパッド(2193)、停滞する株価と業績の行方は?(2020年5月30日投稿)

■基本情報(2022年8月12日時点)

  • 株価:209円(10年来高値:2,880円)
  • 時価総額:224億円
  • 予想PER:ー
  • PBR:1.05倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:88.6%
  • 会計基準:IFRS基準
  • 株主数:52,675人

■クックパッドの業績は?

 クックパッドの2022年12月期の第二四半期の売上高は45.7億円(前年同期比△10.6%減)、営業損益△13.9億円(前年同期は△10.5億円)の減収赤字幅拡大となった。クックパッドの売上総利益率は+95.4%(前年同期は+95.7%)と高く、売上総利益額は21.7億円(前年同期は23.8億円)となっている。

 しかしながら、クックパッドの販売管理費は29.4億円(前年同期は31.1億円)と売上総利益を上回る金額となっており、その結果、営業損益は赤字となっている。

■決算説明資料から利益追求の姿勢は見えない!

 そもそも、クックパッドは利益を出す気がない。まず、「2017年から10年間は投資フェーズ」として利益を出すつもりがないこと。「短期・中期の利益を追求するのではなく、長期目線で市場を創り、それぞれの市場での圧倒的No.1のポジション作りを優先します。」とミッション実現を宣言している。

 よくわからないのは、販管費の開示を「投資の進捗」としているものの、何に、どのくらい投資しているのか、明細や考え方がなく理解できない。

 クックパッドで今、起こっている間違いないことは、国内レシピサービス会員の売上高が四半期ベースで減少していること。また、会員数も減少している。そして、広告収入も減少していること。つまり、レシピで稼ぐことができなくなっている現実だ。それに対する戦略は投資家には説明されていない。

■いまのクックパッドを理解する!

 クックパッドは1997年10月設立の会社。従業員数は連結ベースで487人(単体で376人)。4年前は連結ベース389人(単体で280人)となり、2020年12月にピークとして連結ベース547人となり、そこから減少している。

 クックパッドは2016年12月期まではきわめて順調に成長していた。2016年12月期は売上高168億円、営業利益50億円、営業利益率29.8%。2021年12月期は売上高100億円、営業損失△26億円まで悪化。

 2016年までクックパッドを成長させていたのは、創業者の佐野陽光氏ではなく、カカクコム出身の穐田誉輝(あきた・よしてる)氏だ。2012年にクックパッドの社長に就任し、多角化を実行。現在は、くふうカンパニーの取締役会長になっている。その佐野氏と穐田氏の経営方針の違いにより、穐田氏が退任してからクックパッドはおかしくなったと言われている。何があったかわからないものの、穐田氏が退任してから、営業、財務などのキーパーソンも退職したようだ。

■どこを目指すクックパッド?

 クックパッドの創業者の佐野氏と岩田社長は拠点をイギリスにおいている。日本とのやり取りは基本、Zoomで行われている。日本がもっとも売上比率が高く、全体の90%以上を稼いでるものの、経営陣の多くがイギリスにいるという矛盾に違和感を持ってしまう。日本市場の理解が追いつくのか?

 クックパッドの競合他社の増加中だ。いまではレシピサイトを展開する企業が増えて、たとえば、「DELISH KITCHEN(デリッシュ・キッチン)」、「みんなのきょうの料理」「キューピー3分クッキング」「白ごはん.com」「Nadia(ナディア)」など山ほど競合サイトが出てきている。それらの企業がレシピや料理に関する新規事業の展開を計画しているのが実情だ。

■クックパッドの財務状況は?

 クックパッドの株価を支えているのは何と言っても現預金。2022年6月30日時点の現預金は200億円、もちろん、有利子負債はゼロ。いまの時価総額220億円を保っているのは過去からの現預金があるからだ。ただし、この現預金も少しずつ少なくなっていることに注意が必要だ(毎四半期赤字を出しているので)。

 クックパッドからレシピサイトを超える有力な事業が生まれればよいものの、ヒットがでるかは勝負な面もある。ただ、株価的には下がるところまで下がったという印象だ。

 気になるのはクックパッド従業員の給与水準。平均年齢34.6歳で791万円とかなり高い水準。ミクシィは平均年齢35歳で735万円、カカクコムは平均年齢35.8歳で679万円、楽天グループは平均年齢34.3歳で774万円。一見するとそれほど差異はないように見えるものの、成長していないはクックパッドだけ。楽天グループは大きな赤字を出しているものの、成長のための赤字でクックパッドの赤字とは大きく異なる。

■クックパッドの株価推移は?

 クックパッドの株価はどうなるのか?決算説明資料で新規事業などの解説を行っておらず、個人投資家がクックパッドの将来を期待する材料を集めるのは難しい状況だ。そもそも、クックパッドとして決算説明資料でくわしく事業状況を説明するつもりがない。投資家としては判断する材料がない銘柄だ。

 気になるのは、株主が5万人以上もいる点だ。株主優待として、クックパッドのプレミアムサービスを利用できる権利を得られるため、個人投資家で100株を持っている人が多いと思われる。もし優待をやめると、サイトアクセス数が減少して、広告収入が落ちることは間違いなく、クックパッドとして、辞めるにやめれない株主サービスとなっている。

 しかも、株価が上昇するような場合、5万人の売り圧力になるため、なかなか上がりにくい状況が続くのではないだろうか。株主数が多いと、株価の急騰も急落もゆるやかになる傾向があり、大型株のような動きにとどまる。

(画像1)クックパッドの株価推移

以 上

 

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