「価格.com」、「食べログ」、「求人ボックス」など比較サイトや求人情報サイトを展開しているカカクコム。これまでは高収益、高成長のグロース企業だったものの、成長性は鈍化し、営業利益は前年割れとなっている。アフターコロナの反発で「食べログ」などの業績回復あったものの、グロース企業から成熟企業に転換中か。今後の業績と株価の行方は?
■基本情報(2023年10月6日時点)
- 株価:1,443円(10年来高値:3,915円)
- 時価総額:2,911億円
- 予想PER:15.7倍
- PBR:6.1倍
- 予想配当利回り:3.18%
- 自己資本比率:59.4%
- 会計基準:IFRS基準
- 株主数:9,726人(2023年3月31日時点)
■カカクコムの業績は?
カカクコムの2024年3月期の第一四半期の売上高は154億円(前年比+9.6%増)、営業利益51.7億円(前年比△3.8%減)の増収減益となった。カカクコムは売上総利益をだしていないため売上総利益率はわからない。営業利益率は+33.7%(前年は+38.3%)と約5ポイントほど悪化している。
カカクコムの営業費用の内訳102億円の内訳を見ると、人件費が31億円(前年:28億円)、広告宣伝費23億円(18億円)、手数料23億円(19億円)、外注費11億円(8億円)となっている。
■カカクコムの事業内容は?
カカクコムは「価格.com」という比較サイトが有名だ。家電などでランキングで比較して、その閲覧者を顧客に「送客」することで手数料をあげるビジネスモデル。上場企業でも送客ビジネスを行っている企業は多く、じげん、塾紹介サイトのイトクロ、温浴施設紹介などのニフティライフスタイル、カラダノート、ポートなど数多くの企業がこの領域のビジネスをしている。
■強い「食べログ」!
カカクコムでは「食べログ」も有名だ。ぐるなび、ホットペッパーグルメ、Rettyなどが競合で、そのなかでも「食べログ」が強い。ぐるなび、Rettyはコロナ後の業績回復で苦戦しているものの、「食べログ」はすでにコロナ前の状態まで回復している。
飲食店紹介サイトの「Retty」、コロナ後の業績の行方は?(2023年10月7日投稿)
ぐるなび回復の兆しも!?Googleでの予約サービスも提供、今後の行方は?(2023年10月7日投稿)
カカクコムは「食べログ」にて、PRサービスとネット予約サービスをメインで展開しており、いまはネット予約サービスが伸びている。コロナ前は874万人(送客数)が、現在は1,823万人(送客数)と倍増している。
「食べログ」のPRサービスの契約店舗数は2.2万店舗を突破。ネット予約サービスは6.5万店舗を突破している。全体の有料サービスの契約数は6.9万店舗を突破している。
■求人ボックスも!
カカクコムは「求人ボックス」という有料の求人広告ビジネスを展開している。昔は紙でバイト探しの情報が展開されていたものをネットで展開しているイメージだ。この領域はディップの「バイトル」が強いものの、「求人ボックス」も確実に伸びている。
「価格.com」の業績は悪化しているものの、「求人ボックス」がその落ち込みをカバーしているのが現在のカカクコムの状況だ。「食べログ」はほぼ横ばいという状況。
■カカクコムの財務状況は?
カカクコムの2023年6月30日時点の財務諸表をみると、現預金は329億円、のれん他の買収関連資産は約140億円、金融資産59億円となっている。有利子負債は約6億円と少ない。資本の部は476億円と財務的には健全だ。
参考であるが、カカクコムの従業員数は連結ベースで1,733名。単体では約、1,000人。平均年齢は36歳と若いものの、平均年収は685万円と高い。Rettyも平均年齢30.6歳、平均年収624万円と高い。レストラン比較サイトではIT企業に位置づく給与水準になっている。
■カカクコムの株価推移は?
カカクコムの時価総額は約2,900億円。カカクコムの上場来高値はコロナ後の業績が下がっているときに達成している。すでにそこから株価は半値以下まで下落している。カカクコムが高成長の段階から低成長に入ったことを株価は反映さえていると言えるだろう。
業種は異なるものの、ガンホー・オンライン、ミクシィなどと同じように業績は良く利益率も高いものの、成長性の観点から株価が上がらないジレンマに陥りそうだ。
以 上