メタバース領域に取り組むgumi!マネタイズに向けた仕組みづくりが必要

 スマートフォンゲーム、ブロックチェーン、VRなど先進的なビジネスを展開しているgumi(グミ)。ブロックチェーンゲームのdouble jump東京(ダブルジャンプ東京)への出資など注目を集めることの多いgumiではあるものの、足元の業績はさえない。2022年4月期は1Q、2Qともに営業利益は赤字。ソフトウェア仮勘定については19億円の減損を実施し、税前利益は△49.2億円の大幅赤字となった。gumiの復活と株価の行方はどうなるのか?

ゲーム事業の売上総利益率が大幅悪化のgumi、NFT期待はつづくか?(2021年9月11日投稿)

NFT期待が抜けたgumi、創業者の國光会長退任で株価の行方は?(2021年6月12日投稿)

■基本情報(2021年12月10日時点)

  • 株価:730円(10年来高値:3,340円)
  • 時価総額:228億円
  • 予想PER:10.6倍
  • PBR:1.6倍
  • 予想配当利回り:0.68%
  • 自己資本比率:49.9%
  • 会計基準:日本基準

■gumiの業績は?

 gumiの2022年4月期の第二四半期の売上高は85.8億円(前年同期比△12.8%)、営業利益△15.7億円(前年同期は+13.2億円の黒字)と減収赤字転落となった。gumiの売上総利益率は+3.9%(前年同期は+30.3%)と大幅悪化となった。

 売上総利益率の悪化の要因をみると、支払手数料と外注費が大幅に増加していることが影響している。支払手数料はアップルやグーグルのプラットフォーム使用料に加えて、スクウェア・エニックスなどへの手数料も発生していると思われる。気になるのは売上規模の増減にくらべて支払手数料比率が増加している点だ。

■最近のタイトルの状況は?

 2021年8月に「乃木坂的フラクタル」を配信し、決算説明資料では売上高は好調に推移しているとのこと。ただし、個別タイトルの売上高など不明なため、どこまでコメントを信じればよいかわからない。

 2021年9月には「ブレイブ フロンティア レゾナ」を配信。決算説明資料によると、立ち上がりに苦戦しているようだ。2021年10月には連結子会社のグラムスより「ラグナドール 妖しき皇帝と終焉の夜叉姫」を配信している。1か月でプレイヤー数が500万人を突破したと公表、来期には海外言語版を配信予定だ。

■メタバース領域の取り組みは?

 メタバースとは「コンピュータやネットワークの中に構築された現実世界とは異なる3次元の仮想空間やそのサービスを指す」と定義されている。あたらしい言葉ではあるが、視点を変えると、ゲームやインターネット上の掲示板・動画配信などすでに仮想空間のような領域と考えることもでき、gumiが取り組んでいることの言い換えのような感じはする。

 業績が悪化するなかで、gumiが「メタバース」という新しい言葉を引用することで注目を集めようとしている感じはいなめない。言葉に惑わされず、gumiの事業の行く先をしっかり見据える必要がありそうだ。

■gumiの中期経営戦略は?

 gumiの2023年4月期の中期数値目標は営業利益100億円、営業利益率20%を掲げている。つまり、売上高500億円、営業利益100億円である。今期は業績予想を出していないものの、売上高で約200億円、営業利益は赤字の見通し。どのようにして立て直すことができるのだろうか。

■gumiの株価推移は?

 gumiの時価総額は約230億円。現在は年初来安値を更新している。いまの業績で株価が上昇するとは期待できないが、短期的には上下に激しく揺れそうだ。gumiの株価を支えているのは、NFTやブロックチェーンなどの新しい領域への先行投資のイメージが先行しており、いつかは利益が大きくでるのではという期待感のみ。

 稼ぎ頭のスマートフォンゲームも赤字に陥っており、ここから業績が回復できなければ、どこかで大きなリストラが行われるはずだ。現在は約860名(国内560名、海外300名)の従業員が全世界にいるものの、いつリストラが行われてもおかしくない状況だ。

 まずは業績がどこまで悪化されるか見極める必要がある。gumiに投資するタイミングはまだ来ていないのではないだろうか。

(画像1)gumiの株価推移

以 上

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