インターネット直販サイトにより生命保険を販売しているライフネット生命。KDDIやセブンフィナンシャル、マネーフォワードなどと事業提携し、「セブン・フィナンシャルサービスの生命保険」や「マネーフォワード 固定費の見直し」などのサービスを提供(予定)。引き続き営業赤字であるものの、ライフネット生命の業績と株価の行方はどうなるのか?
堅調に成長するライフネット生命!保有契約件数は40万件突破(2021年2月28日投稿)
■基本情報(2021年5月21日時点)
- 株価:1,186円(10年来高値:1,785円)
- 時価総額:719億円
- 予想PER:ー(赤字予想)
- PBR:4.54倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:29%
- 会計基準:日本基準
■ライフネット生命の業績は?
ライフネット生命の2021年3月期の売上高は208億円(前年比+23.4%増)、経常利益△30.9億円(前年は△23.8億円の赤字)と売上高は安定的な成長となった。ライフネット生命は売上総利益(粗利)のようなものがないため、実態の利益状況が見えにくい。
ライフネット生命が決算説明資料で公表している「修正利益の推移」をみると、2021年3月期は+35.6億円となっている。なお、2020年3月期は+27.8億円となっており、前年比+8億円ほど増えている。そもそも、ライフネット生命は保険契約を増やすために営業費用を投入しており、その影響で単年度でみると赤字になってしまう利益構造となっている。たとえば、クラウド会計のfreee(フリー)やマネーフォワードなどと同じで広告宣伝費が先行するため、会計上は赤字となってしまう。
■ライフネット生命の収益構造は?
ライフネット生命は前年比+20%を超える勢いで新規契約を獲得している。会計上は営業費用が初年度に大きく発生し、サブスクリプション型である生命保険はそこから長期間の保険料を獲得できる仕組みだ。freeeやマネーフォワードなどが赤字であるものの、高い株価を維持できているのはサブスクリプション型で安定成長できるから。ライフネット生命も実は同様の収益構造となっている。
ライフネット生命はテレビCMなどを積極的に展開しており、おそらく巨額の広告宣伝費が発生している。しかしながら、決算説明資料では広告宣伝費の金額は開示していない。「営業費用を除く事業費率」というものを開示しており、その事業費の金額は2021年3月期で33.2億円。決算短信の事業費は100億円のため、営業費用として約67億円計上している。営業費用には代理店の新規契約の成功報酬やテレビCMなどが含まれていると思われる。2021年3月期の経常赤字が△30億円のため、営業費用を除く経常利益を表示すると+37億円となる。
■ライフネット生命の株価の行方は?
ライフネット生命の時価総額は720億円。経常損益が赤字のため、時価総額の妥当性を判断しにくいが、営業費用を除く経常利益を約35億円と考えると、それほど割高な株価ではない。ただし、株価チャート的に下落トレンドとなっており、当面は様子見が無難だろう。
以 上