個人事業主を中心にスモールビジネス向けのネットショップ作成支援「BASE」や決済支援の「PAY.JP」などを展開しているBASE。総流通総額であるGMVは成長しているものの、売上高につながるテイクレートが下落しており、減収となった。BASEは2020年9月に約130億円を調達しており、財務的には健全であるものの、増資を引き受けた株主は大損となっている。BASEの今後の業績と株価推移は?
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■基本情報(2023年3月17日時点)
- 株価:288円(10年来高値:3,448円)
- 時価総額:328億円
- 予想PER:赤字予想
- PBR:2.43倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:43.2%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:36,882人(2021年12月31日時点)
■BASEの業績は?
BASEの2022年12月期の売上高は97.4億円(前年比△1.9%減)、営業損益△15.1億円(前年は△9.8億円)と減収赤字幅拡大となった。BASEの売上総利益率は+48.6%(前年は+56.6%)と8.0ポイントの悪化。売上高が前年割れし、売上総利益率も悪化しており厳しい状況だ。
■BASEの事業状況は?
BASEの流通総額(GMV)は拡大している。2022年12月期は約2,000億円となり、四半期の推移をみると順調に拡大している。いっぽうで、売上高は前年とほぼ横ばいとなった。流通総額に対する売上高の比率であるテイクレート(マージン比率)が悪化しているからだ。
BASEの事業状況がもっとも分かりやすいのは、売上総利益額の推移だ。売上総利益が下落傾向となっており、売上総利益率も60%台から45%まで下落している。流通総額、売上高、売上総利益が伸びていて、成長投資のための赤字であれば理解できるものの、BASEの事業状況は明らかに悪化傾向を示している。この赤字を継続できるのは、2020年9月に増資により130億円を調達しているからだ。
■BASEのその他状況は?
BASEの従業員推移をみると、2022年12月末時点の従業員数は266名。1年前の211人とくらべると+55人増となっている。赤字にも関わらず積極的に人的資源に投資している。1人あたりの売上高に換算すると、2021年12月期は1人あたり47百万円だったものの、2022年12月期は1人あたり37百万円まで下落。
PAY事業をみると、年度別の獲得顧客のGMV推移が表示されている。2022年12月期の4Qだけを注目すると、2020年からの顧客は44.6億円、2021年からの顧客は33.6億円、2022年からの顧客は31.6億円(4Q途中からの顧客も含まれるので正しい比較ではない)と下落傾向となっている。
■BASEの財務状況は?
BASEの2022年12月期の財務諸表をみると、現預金は223億円、未収入金79億円。いっぽう、有利子負債はゼロ、営業未払金117億円、営業預り金55億円となっている。差引すると現預金は130億円ほど残っている計算になる。財務的にはきわめて健全だ。
■BASEの株価推移は?
BASEの時価総額は約330億円。ネット現預金が130億円くらいあることを考慮すると、事業価値は200億円の評価と考えることができる。楽天、DeNAなどのメガベンチャーに買収されると、一気に利益のでるビジネスになる可能性がある。
ただ、ネットプロテクションズやロボットペイメントなどの似たように決済サービスも出てきているため、いつまで競争力を保てるか不明だ。すでにBASEの株バブルは終了し、高値からは10分の1以下まで株価は下落している。どこかで浮上しそうな気はするものの、時価総額1,000億円を超えることは難しいだろう。
以 上