電子雑誌のブランジスタ(6176)、2016年の「神の手」から「旅」メインに!

 電子雑誌「旅色」などを展開しているブランジスタ。2015年9月に上場し、2016年にブランジスタゲームによる、人気アイドルグループのAKB48などのプロデューサーとして知られる秋元康プロデュースの「神の手」を発表し、一時は時価総額2,200億円まで急騰した銘柄(現在の時価総額は約80億円)。ブランジスタの現在の事業状況はどうなっているのか?

■基本情報(2020年8月7日時点)

  • 株価:545円
  • 時価総額:79億円
  • 予想PER:22.3倍
  • PBR:2.65倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:78.2%
  • 会計基準:日本基準

■ブランジスタの業績動向は?

 ブランジスタの2020年9月期の第二四半期の売上高は16.2億円(前年同期比△3.9%)、営業利益1.9億円(前年同期比△21.2%)と減収減益。4年前に時価総額2,200億円の企業価値をつけた面影はまったくない業績となっている。現在のブランジスタの主な事業は電子雑誌関連が約7割、残りはWEB関係のサポートをしている。

■ブランジスタの事業内容は?

 ブランジスタの電子雑誌ビジネスとは、どのような内容なのか?電子雑誌の売上高の58%は「旅色」という旅行関連の雑誌をメインとしている。残り42%は「GOODA」「マドリーム」「政経電論」などを発行している。決算説明資料を見ると、電子雑誌事業において、これから「旅色」に更に集中していく計画だ。しかしながら、電子雑誌で利益を稼ぐことができるのか?

 ブランジスタの子会社であるブランジスタメディアが電子雑誌事業をしているものの、発行部数、読者数などは公表されていない。決算説明資料をみても、電子雑誌の規模感は開示されていない。売上高は年間で約30億円ほどの規模となっている。

 いったい、どのようにしてブランジスタは稼いでいるのか?決算資料から読み取れるのは、雑誌内容についてタイアップした企業・自治体からの広告料が主な収入と考えられる。ブランジスタの連結ベースでの従業員は約260名。発行部数など開示されていない電子雑誌であるものの、かなり多くの従業員を維持できる広告収入の規模となっている。

■ブランジスタの過去の株価高騰は?

 現在は電子雑誌事業をメインに行っているブランジスタ。すでにゲーム事業は親会社のネクシィーズグループ(46.6%保有の親会社)に売却しており、かつて世の中を沸かせたゲーム事業は展開していない。2016年に起こった「神の手」による株価高騰はいったい何だったのだろうか。「神の手」はネット上のクレーンゲーム。このクレーンゲームにて、秋元康プロデュースのアイドルグループAKB48などの限定商品などを目玉に課金していくビジネスモデルだった。

■年商1,200億円をかかげたが・・・

 ブランジスタの株価の急騰と急落を招いたのは「神の手」で年間売上高1,200億円を想定していると公式に発表してしまったことが要因だ。個人投資家と機関投資家を中心に売り・買いが交錯して株価は一気に急騰。その後、一気に急落して痛手を負った投資家(投機家?)も少なくなかったはず。ネット上のクレーンゲームではサイバーステップ(3810)が奮闘しているものの、年間の売上高は130億円ほど。事業の着眼点としては面白かったものの、ビジネスモデルの構築が甘かったと言わざるえない。

■ブランジスタの株価推移は?

 ブランジスタの株価推移をみると、2016年の急騰が大きすぎて中長期推移でみると変動がわからない。ここ最近の推移をみると、継続して下落をつづけている。上場時から保有している個人投資家はほとんどいなくなったのではないだろうか。今後のブランジスタの株価を考えると、主力の電子雑誌で事業を大きくするのは難しい。驚くような新規事業がないかぎり、現在の時価総額から大きな躍進は見られないはずだ。

以 上

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