育毛剤「ニューモ」の売上高激増!ファーマフーズ、通販事業で高成長つづく!

 「医薬」「食」を融合したファーマフーズ(Pharma Foods)を目指し、機能性素材(食品に含有している健康機能を有する栄養素など)の開発や通信販売をおこなっているファーマフーズ。東証二部に上場している。育毛剤「ニューモ」の大ヒットにより、2021年7月期の売上高は2.7倍に急増、営業利益は△14.3億円であるものの、通期では20.9億円の営業黒字を計画している。ファーマフーズの業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2020年12月4日時点)

  • 株価:3,140円
  • 時価総額:912億円
  • 予想PER:64.9倍
  • PBR:18.6倍
  • 予想配当利回り:0.31倍
  • 自己資本比率:23.0%
  • 会計基準:日本基準

■ファーマフーズの業績は?

 化粧品、育毛剤(ニューモ)、サプリを販売するファーマフーズ。2021年7月期の第一四半期の売上高は83.9億円(前年同期比+171.4%)、営業利益△14.3億円(前年同期は△7.8億円の赤字)と大幅な売上高増となった。営業赤字が増えた要因は、前年同期比で広告宣伝費を+43億円投入した影響だ。売上高の半分以上の広告宣伝費を投入し、大きく売上高を伸ばす結果となった。

 このような売上高の大幅な増加を好感し、ファーマフーズの株価は2020年1月の年初来安値から7倍高のところまで上昇している。これから株価は更に上昇していくのだろうか?

■ファーマフーズの売上高内訳、育毛剤が大ヒット!

 ファーマフーズは機能性素材事業、通信販売事業、バイオメディカル事業の3つに分かれている。機能性素材事業とは、BtoBやBtoCで食品に含有している健康機能を有する栄養素などを販売する事業だ。ファーマフーズの機能性素材事業の主力は「ファーマギャバ(GABA)」が商品別の売上高の約50%となっている。

 ファーマフーズの売上高を引っ張っているのは、化粧品、育毛剤(ニューモ)、サプリなどの通信販売だ。通販事業は前年同期比で3.2倍(+218.4%増)の大幅増収となっている。その売上高を引っ張ているのは、薄毛に悩む人に定期販売する育毛剤「ニューモ」、通販事業の売上高の56%を占めている。その次に「タマゴサミン」が10%、「ニューモサプリ」が9.5%を占めている。定期販売を利用する件数は2020年10月末時点で57.7万件となり、そのうち39.7万件は育毛剤「ニューモ」が占めている。今回の売上高大幅増の要因は育毛剤「ニューモ」の大ヒットが要因だ。

■通販事業の売上高内訳推移は?

 ファーマフーズの通販事業の内訳推移をみると、2021年7月期の1Qで育毛剤が大きく増加している。広告宣伝費を1Q(3か月間)だけで66.2億円を投入した結果が大きくでている。ファーマフーズの売上総利益率は84%前後となっており、化粧品、育毛剤、サプリの製造原価は非常に低いのが特徴だ。仮に、広告宣伝費を66.2億円から23億円(前年同期実績)まで下げれば、理論上は営業利益は28億円前後の黒字となっていた計算だ(広告宣伝費を減らすと、売上高が大きく減ることは考慮せず)。

■定期販売は好調!育毛剤の効果は?

 ファーマフーズの定期販売の推移は2021年7月期の1Qで大きく伸びている。育毛剤「ニューモ」の影響だ。ちなみに、育毛剤は薄毛対策のひとつで、発毛を促すものではない。育毛剤は頭皮の状態を整え、発毛環境を整え、抜け毛防止の予防ケアのためのもの。ファーマフーズの広告をみると、「脱毛予防、発毛促進」と書かれており、発毛(髪の毛が生えてくる)とは記載されていない。

■育毛剤「ニューモ」は成長するか?育毛剤と発毛剤の違い

 育毛剤「ニューモ」(約5,500円)の販売が絶好調であることは業績から読みとれるものの、なぜ「ニューモ」はここまで大ヒットしているのか?やはりテレビCMなどの広告宣伝の影響が大きい。薄毛で悩む男性は多く「いくらお金がかかっても薄毛を治したい、でも病院にまでは行きたくない」という人のニーズにうまくマッチしたのではないだろうか。

 ただし、多くの人は「ニューモ」により薄毛が解消されると誤解している可能性がある。「ニューモ」は頭皮保護成分(卵黄リゾホスファチジルコリン)を配合して、「脱毛予防、発毛促進」を促す育毛剤(おもに抜け毛を予防するもの)。「ニューモ」の広告をみても、「髪の毛が生えてくる」とは記載されていない。

 育毛剤と発毛剤の違いは何か?育毛剤は医薬部外品で抜け毛予防が目的、発毛剤は医薬品で薄毛の治療が目的。育毛剤で「発毛を促進する」と宣伝するのは問題ないが、「発毛する」と言ってしまうと医薬品医療機器等法に抵触してしまう。発毛剤としてはミノキシジルという成分を含んだ「加美乃素(かみのもと)デルタ」(約5,000円)や大正製薬の「リアップX5プラスネオ」(約7,800円)などが医薬品の発毛剤だ。医薬品の購入には薬剤師による適正使用の確認が必要だ。

■ファーマフーズの株価の行方は?

 ファーマフーズの株価は好調だ。2021年7月期の1Qの業績は営業赤字であるものの、先行投資である広告宣伝費の影響で赤字。その広告宣伝効果により、定期販売が大幅に増加し、広告宣伝費を削減することで大きな利益を計上することが可能だ。このままファーマフーズの株価は上昇していくのだろうか?

 現在の時価総額約900億円のため、育毛剤「ニューモ」次第でまだまだ上昇する可能性はある。心配されるのは、RIZAP(ライザップ)のようにブームがさって売上高が急減する可能性がある点だ。「ニューモ」の消費者の薄毛対策による効果であり、満足度がどこまであるのか不明であるが、これから継続的に売上高が増えるのであれば株価は割安だ。まさに大ヒット商品の売れ行き(消費者動向)次第だ。個人的には「ニューモ」が薄毛対策に対して革新的な効果があるのであれば医薬部外品(予防効果成分配合)ではなく医薬品(治療薬)として認められているでないかと疑問点は残る。

(画像5)ファーマフーズの株価推移

以 上

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