総合スポーツジム「セントラルスポーツ」を中心に事業を行っているセントラルスポーツ。2021年3月期は新型コロナウイルスの影響により臨時休業を実施し、大幅な売上高の減少となった。前年比△30%を超える減収となったものの、なんとか営業黒字を確保。同業他社のルネサンスが大きな営業赤字を計上するなか踏ん張った形だ。今後のセントラルスポーツの業績と株価はどうなるのか?
緊急事態宣言で業績悪化のルネサンス、1年間で会員7万人減少!(2021年5月22日投稿)
■基本情報(2021年5月21日時点)
- 株価:2,459円(10年来高値:4,935円)
- 時価総額:282億円
- 予想PER:31.2倍
- PBR:1.24倍
- 予想配当利回り:0.97%
- 自己資本比率:50.6%
- 会計基準:日本基準
■セントラルスポーツの業績は?
セントラルスポーツの2021年3月期の売上高は360億円(前年比△32.5%減)、営業利益8.8億円(前年比△77%減)の大幅な減収減益となった。セントラルスポーツの売上総利益率は+10.0%(前年は+14.1%)、営業利益率は+2.4%(前年は+7.1%)といずれも悪化傾向となった。
売上高の内訳をみると、スポーツクラブのフィットネス部門は前年比△39.6%落ち込んでいる一方、子ども向けのスイミングスクールなどのスクール部門は△20.7%と持ちこたえている。セントラルスポーツのクラブ会員の年齢構成をみると、40代以上が約80%を占めている。60代以上では約45%となっており、シニア層の割合が高く、新型コロナウイルスの影響による(感染を懸念した)休会などの影響を大きく受けたものと思われる。なお、セントラルスポーツの男女比率はほぼ半々となっている。
■セントラルスポーツの今後の戦略は?
セントラルスポーツは全国に246店舗を展開している。現在のクラブ会員数はスクール部門を含めて約36万人。2021年3月期には新たに6店舗を出店し、8店舗を退店(撤退)している。スポーツクラブを出店する場合は、施設建設などの時間がかかるため、新たな6店舗はコロナ前から計画されていたものと思われる。
セントラルスポーツの今後の戦略としては「オンラインサービス」の拡充だ。「オンラインパーソナルトレーニング」や「オンラインイベント」「YouTubeセントラルスポーツチャンネル」など新しい取り組みを始めている。もうひとつは、24時間利用店舗の充実だ。ここ数年はファストフィットネスジャパンの展開する「エニタイムフィットネス」などの24時間営業のスポーツジムが若者の需要を取り込んでおり、総合スポーツクラブのセントラルスポーツも力を入れはじめた分野となっている。
■セントラルスポーツの株価の行方は?
セントラルスポーツの時価総額は約280億円。株価チャートを見ると、ここ数年の株価上昇が一気に吹き飛んだ状況であるものの、下げ止まりからの上昇トレンドに入っているようにも見える。しかしながら、新型コロナウイルスのワクチン接種がスタートしたものの、本当にコロナ感染拡大を抑えることができるか半信半疑である点は残る。
2021年の冬場に感染拡大の有無を確認してから投資しても遅くないかもしれない(そのときに株価が上昇していたら諦める選択も必要)。セントラルスポーツやルネサンスなどの総合スポーツクラブにとって、最大の課題はクラブ会員の高齢化の加速。いまセントラルスポーツに行くと、シニア世代が8割を占めている状態で、若者が加入しにくい状態がつづいている。若者世代は駅前などの24時間営業のフィットネスクラブなどに通っている。セントラルスポーツに将来的な成長が望めるビジネスモデルになるか大きな課題となっている。
以 上