「塾ナビ」「みんなの学校情報」「家庭教師比較ネット」などの学習サイトのポータルサイトを運営しているイトクロ。イトクロのビジネスは教育機関に生徒候補を送り出す送客ビジネスだ。2022年10月期の計画は売上高は前年比プラスであるものの、営業利益は前年比マイナスを計画しており、去年6月の株価高値1,413円から400円台まで株価は下落中。イトクロの業績と株価はどうなるのか?
「塾ナビ」「みんなの学校情報」など教育領域メディア展開のイトクロ!(2021年6月12日投稿)
■基本情報(2022年1月28日時点)
- 株価:421円(10年来高値:3,825円)
- 時価総額:95億円
- 予想PER:16.7倍
- PBR:0.96倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:91.1%
- 会計基準:日本基準
■イトクロの業績は?
イトクロの2021年10月期の売上高は42.7億円(前年比+10.5%増)、営業利益13.0億円(前年比+14.6%増)の増収増益。イトクロの売上総利益率は+88.2%(前年は+87.2%)、営業利益率は+30.6%(前年は+29.5%)と収益性はバツグンに高い。
前年比で売上高が+10%増加していて、表面的には成長しているように見えるものの、2020年10月期はコロナ感染拡大により大きく売上高を落としており、その戻しの要素が大きい。ここから成長していく計画を立てているものの、本当に成長できるか市場は疑心暗鬼になっているというのが正直なところ。
■イトクロの事業内容は?
イトクロは「塾ナビ」や「家庭教師比較ネット」などの紹介ポータルサイトをもっており、この既存事業が事業の基盤。ただし、これらの2022年→2024年の成長率は+2~5%を計画しており、低成長事業になる見込みだ。
イトクロは「みんなの学校情報」や「みんなの専門学校情報」やM&Aで買収した事業(コドモブースターほか)で2024年まで平均+40~50%の成長率の事業を計画している。本当に新しい事業が育つか、株価をみるかぎり、投資家は厳しい目でみているのが現状だ。
■イトクロの2022年10月は営業利益マイナス!?
イトクロは2022年10月の業績計画は売上高44.2億円(前年42.7億円)は、営業利益8.5億円(同13.0億円)と低成長と営業利益マイナス。この業績発表をしてから株価は半値まで下落。3年前の最高値時は時価総額1,000億円ちかくまで株価は暴騰したものの、いまは10分の1くらいまで下落となった。
株式市場で個人はほかのグロース銘柄と比較して割安だと思ってイトクロ株を購入するものの、機関投資家や大口投資家がどんどん売っている状況だ。そして、含み損が増えつづける個人投資家が入れ替わって損切りをつづけている状況がつづいている。
■イトクロの株価の行方は?
イトクロの時価総額は約95億円。イトクロは設備投資がほぼ不要のビジネスモデルのため、どんどんキャッシュ(現預金)がたまり、2021年10月末時点の現預金は88億円。時価総額と比較しても大きい。黒字は継続しており、正直、売られ過ぎの水準まで株価は落ちている。
イトクロはキャッシュがたまる事業構造であるものの、配当金はゼロ、株主優待なし、と株価を意識した経営をしていない。これも株価下落の要因のひとつ。自己資本比率は90%を超えており、積極的に事業拡大への投資(人材採用ほか)やM&Aを進めても良いかもしれない。このような状況下、2022年10月期は営業利益マイナスを計画している、と発表すると投資家としては、なかなかイトクロ株を買いにくい状況がつづきそうだ。
以 上