FC加盟店を活用して高齢者向けの弁当を提供しているシルバーライフ。あまり会社名を聞くことはないものの、コロナ禍で着実に売上高を伸ばしている。FC加盟店は978店舗となり、「まごころ弁当」「宅食ライフ」「配食のふれ愛」を展開。前年比+10%を超える成長を見せている。今後のシルバーライフの業績と株価の行方は?
■基本情報(2023年1月7日時点)
- 株価:1,750円(10年来高値:3,690円)
- 時価総額:189億円
- 予想PER:34.3倍
- PBR:3.44倍
- 予想配当利回り:0.85%
- 自己資本比率:61.1%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:5,599人(2022年7月31日時点)
■シルバーライフの業績は?
シルバーライフの2023年7月期の第一四半期の売上高は30.2億円(前年同期比+12.4%増)、営業利益2.5億円(前年同期比+144.3%増)の増収増益。シルバーライフの売上総利益率は+29.8%(前年は+23.2%)、営業利益率は+8.1%(前年は+3.7%)と利益率が大きく改善。
売上総利益率が大きく改善した理由は、2022年10月以降に外部委託商材の30%を自社製造に移行(内作化)した効果がでている。自社製造による効率化により、工場稼働率が30%→45%と大きく改善。そもそも、工場の稼働率が低く、ここを改善すれば売上総利益率はもう少し改善しそうだ。
■シルバーライフの事業内容は?
シルバーライフは高齢者向けの宅配弁当事業を行っている。また、FC店舗を約1,000店舗展開しているため、FC加盟店の売上高が大きく、そこに商材を下ろしている売上高が全体の約7割を占める。また、最近では直販が前年比+20%以上で伸びているのが大きい。
事業としては、調理済み食材をFC店舗に配送し、FC店舗で盛り付けして顧客に届ける事業がFC事業だ。数ある宅食(配食)サービスのなかで店舗数は1位となっている。ここ最近ではnosh(ナッシュ)という企業の冷凍宅配の広告を目にすることが多いだろう。シルバーライフは「まごころケア食」というサービスで提供しており、利益がでる水準まで到達している。おそらく、noshは利益面は苦戦しているのではないだろうか。
共働き世帯にとっては冷凍弁当は時短になるもの。コンビニ弁当などと比べて栄養士が栄養バランスに配慮した弁当内容になっているため、健康を意識した層にも人気が高い。弁当の価格帯は1食あたり400円~700円くらいで、割引クーポンや初回割などを活用すると、かなり安い。
今後は高齢者が増えてくるため、健康に意識した層にとっては、スーパーで弁当を購入するよりも、シルバーライフなどの冷凍弁当を活用する需要は増えていくのではないだろうか。
■新ブランドは「きくばりべんとう」!
シルバーライフは高齢者だけでなく、働く世帯向けにあたらしいブランド弁当を発表。「きくばりべんとう」というブランドで、イメージ的にnosh(ナッシュ)を意識しているように思える。すべて糖質15g以内、管理栄養士・医師が営業バランスなどを監修。1食あたり税抜370円~とお手軽価格。会員ランクにより継続購入でお得に。メニューも自由に選ぶことができる。
ウェブサイトをみるかぎり、nosh(ナッシュ)と類似した内容で、共働き世帯やリモートワークで在宅勤務などが多い層に人気がでそうだ。30~50代で糖質を意識している女性などメインターゲットになるのではないだろうか。
食材とレシピを提供しているオイシックスの場合は調理するという手間が発生するが、冷凍弁当はその手間がなく、共働き世帯にもニーズが広まりそうだ。
オイシックス・ラ・大地、宅配3事業の広告費増で減益に!(2022年1月8日投稿)
■シルバーライフの財務状況は?
シルバーライフの2022年10月31日時点の財務状況は、現預金16億円、在庫3.7億円、有形固定資産50.2億円、無形固定資産3.4億円。いっぽう、有利子負債は約21億円。財務的には健全だ。
意外にも利益剰余金を40.5億円も貯めており、2007年10月の設立ながら堅調に利益剰余金を積み立ててきている。経営的にはかなりうまいと言えるだろう。
■シルバーライフの株価推移は?
シルバーライフの時価総額は約190億円。上場後、一時は時価総額400億円くらいまで上昇したものの、約3分の1くらいまで株価下落。現在は業績向上により株価は上昇トレンドと言えるだろう。
この宅食事業は競合他社が多く、最近は働く世帯向けに冷凍弁当の広告合戦のような状況になっている。シルバーライフが市場シェア拡大を意識して、広告を大量に投入しないかぎり、安定成長は期待できそうだ。もちろん、競合に競争力で負けてしまっては業績は下がってしまうが。
以 上