業績下方修正のワークマン、収益力はあるものの成長性は停滞気味!

  作業着やカジュアルウェアなど低価格路線で業績を拡大しているワークマン。年間売上規模は1,300億円を超え、営業利益率は20%をうかがう状況。ただ、これまでの右肩あがりの成長から、低成長に陥っている。店舗数は1,006店舗(ワークマン:405店舗、ワークマンプラス:547店舗、ワークマン女子:44店舗など)と増加しているものの、増収減益なのは悩ましい。

作業着・カジュアルウェアのワークマン、成長鈍化で株価下落トレンドに!(2021年9月4日投稿)

■基本情報(2024年2月9日時点)

  • 株価:3,985円(10年来高値:10,570円)
  • 時価総額:3,262億円
  • 予想PER:20.2倍
  • PBR:2.69倍
  • 予想配当利回り:1.7%
  • 自己資本比率:84.0%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:28,398人(2023年3月31日時点)

■ワークマンの業績は?

 ワークマンの2024年3月期の第三四半期の売上高は1,061億円(前年比+5.3%増)、営業利益206億円(前年比△0.4%減)の増収減益。ワークマンの営業総利益率(売上総利益率ではない)は+36.6%(前年は+35.8%)、営業利益率は+19.5%(前年は+20.6%)と粗利は改善しているものの、営業利益率は悪化している。

 ワークマンの営業総利益は前年の361億円→389億円と+28億円の増加、販管費は前年の154億円→182億円と+28億円の増加となり、営業利益はほぼ横ばいとなった。本来は販管費の伸びを抑えて、増益になっているはず。

■ワークマンの事業状況は?

 ワークマンのフランチャイズ比率は94.2%となっており、ほぼフランチャイズビジネス。よって、売上高は直営店の販売よりも、フランチャイズへの卸売による売上高が多い。

 ワークマンの現在の店舗数は1,011店舗であるものの、中長期の目標としては1,500店舗を目指している。つまり、これから1.5倍の成長を見込んでいる。なかでも「ワークマン女子」という店舗は現在の48店舗→400店舗まで増やす計画だ。これから年間+30店舗を増やしていく計画。

■ワークマンの利益構造は?

 ワークマンは海外で生産して日本で販売しているため、現在の為替レート1ドル=約150円はかなり厳しい。ファーストリテイリングのユニクロはすでに海外店舗のほうが日本よりも多いため、それほど円安の影響は受けない(むしろ、海外店舗の利益が円安で嵩上げされて連結される)。

 ワークマンの株価のベンチマークとしては、しまむらが参考になるかもしれない。しまむらの売上高は年間6,350億円、営業利益545億円、営業利益率+8.5%で、時価総額は約6,000億円だ。ワークマンは年間売上高1,350億円、営業利益235億円、営業利益率+17.3%で時価総額は約3,200億円。現時点では、しまむらとワークマンの株価は規模や利益率の違いもうまく反映されてバランスが取れているように思える。

 これからワークマンの売上高が1.5倍になれば、もう少しワークマンの時価総額もあがるのではないだろうか。

■ワークマンの財務状況は?

 ワークマンの2023年12月末の財務諸表をみると、現預金は726億円、商品は192億円、有形固定資産は283億円、差入保証金41億円となっている。負債をみると、有利子負債は13.5億円のみで、未払法人税が41億円計上されている。目立った負債はない。財務的には、きわめて健全だ。

■ワークマンの株価推移は?

 ワークマンの時価総額は約3,200億円。すでに上場来高値から半値以下まで下落している。コロナ禍でいったん急浮上してから、ずっと右肩さがりの下落をつづけている。おそらく、ワークマンブームに乗って購入した人はほとんど含み損ではないだろうか。さすがに、ワークマンブームで株価がここから3~5倍に跳ね上がることは、なかなかないのではないか。株主がすでに3万人ちかくいて、株価の動きが悪い。

(画像1)ワークマンの株価推移

以 上

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