ランサーズと並びオンライン人材マッチングプラットフォームで業界NO.1のクラウドワークス(Crowd Works)。フリーランサーを中心に新しい働き方を提供しているクラウドワークス。約10年前はクラウドソーシングが大きく注目されたものの、クラウドワークスはなかなか収益を上げることができずに苦しんでいる。同業他社のランサーズも同様だ。現在では成長企業~大手企業にハイスキルエンジニアを紹介するサービスも展開。クラウドワークスの業績と株価はどうなるのか?
スキルマーケット「coconala」を運営するココナラ、サービス版のAmazon目指す!(2021年4月18日投稿)
■基本情報(2021年4月16日時点)
- 株価:1,670円(10年来高値:2,544円)
- 時価総額:254億円
- 予想PER:未定
- PBR:7.93倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:61.6%
- 会計基準:日本基準
■クラウドワークスの業績は?
クラウドワークスの2021年9月期の第一四半期の売上高は18.2億円(前年同期比△22.4%減)、営業利益は+1.0億円(前年同期は△0.2億円の赤字)と減収黒字転換となった。クラウドワークスの売上総利益率は+45%(前年同期は+36.3%)と改善した。クラウドワークスの総契約額は36.8億円、クラウドワークスは5%~20%のシステム利用料(いわゆる手数料)を徴収しており、それが売上高になっている。しかしながら、システム利用料は契約額の5%~20%であるため、総契約額がどのように算出されているか不明点が残る。
■クラウドワークスはストック型ビジネス?
クラウドワークスの決算説明資料をみると、「ストック型のビジネスモデルによる安定した事業基盤」と説明しているページがある。たしかにクライアント(顧客)のリピート発注はあるものの、いわゆるサブスクリプション型(継続取引)ではなく、水道・ガス・電気やコピー機のインクなどのリカーリング型ビジネス(循環ビジネス)とも異なる。
クラウドワークスのビジネスモデルはECサイトのようなサービス利用者の増加はあるものの、競合他社がより良いサービスを提供した場合、そちらに簡単に流れてしまう緩いビジネス関係となっている。クラウドワークスの競合他社はランサーズやココナラだけでなく、既存の人材派遣会社や正社員採用する企業も該当する。
■クラウドワークスのビジネス内容は?
クラウドワークスはインターネット上で仕事と作業依頼をマッチングできるプラットフォーム事業を行っている。募集している仕事は、ブログなどの記事作成、Webデザイン、ホームページ作成、事務・簡単作業、写真・動画編集など多岐にわたる。
クラウドワークスは顧客69万社、クラウドワーカーは424万人と記載している。しかしながら、顧客とクラウドワーカー双方ともカウントの仕方が明記されておらず、これまでの累計取引数と思われる。
■クラウドワークスの株価の行方は?
クラウドワークスの時価総額は約250億円。企業とクラウドワーカーとのマッチングビジネスは手数料5%~20%のもので、売上高200億円を稼ぐためには(手数料より試算すると、)総契約高は1,000~2,000億円は必要になる。もし、クラウドワークスがこの規模の総契約高のビジネスをしていた場合、いまの人材派遣や正社員の働き方は大きく変わっているはずだ。
クラウドワークスはすでに成長の伸びが鈍化しており、時価総額250億円でも過大評価されている。B/Sの利益剰余金を見ると△21億円となっており、これまでも稼ぐことができていない。クラウドワークスはSaaSなどのクラウドITサービスと異なり、先行投資で赤字を計上しているわけではない。ここから成長するには、あたらしいビジネスへの着手が必要になるはずだ。
以 上