中小・中堅企業や医療機関のメディア露出を実現するサポートやメディアマッチングサービス「メディチョク」、決裁者アポイントマッチングサービス「アポチョク」などを展開しているEnjin(エンジン)。2007年3月に設立された従業員数152名(2021年4月時点)のPR事業を主体としている企業だ。2021年6月に東証マザーズに新規上場したばかり。Enjinの事業内容と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2021年7月16日時点)
- 株価:4,235円(10年来高値:4,525円)
- 時価総額:296億円
- 予想PER:50.4倍
- PBR:24倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:61.8%
- 会計基準:日本基準
■Enjinの業績は?
Enjinの2021年5月期の売上高は21.6億円(前年比+41.5%増)、営業利益6.1億円(前年比+100.5%増)の大幅な増収増益となっている。Enjinの売上総利益率は+78.4%(前年は+78.1%)、営業利益率は+28.1%(前年は+19.8%)と高い水準となっている。
新型コロナウイルスの影響を受けることなく、順調に売上規模を拡大することができている。顧客数は1,659社(前年は1,275社)と順調に増加しており、顧客あたりの平均契約単価は96万円前後となっている。企業向けだけでなく、医療機関のPRにもかかわっているのがEnjinの特徴だ。
■Enjinの事業内容は?
Enjinの主要ビジネスは企業と医療機関のPR支援だ。2021年5月期の売上高21.6億円のうち、95.3%はブランディングPR事業によるもの。残りの4.5%はメディアマッチングサービス「メディチョク」によるもの。決裁者へのアポイントを支援する「アポチョク」はほとんど売上高がない状態だ。
ブランディングPR事業は、企業向けと医療機関向けの2つに分かれるが、企業向けの売上高は17.1億円(前年は11.3億円)、医療機関向けは3.5億円(前年は4.0億円)と医療機関向けは前年割れとなっている。その理由としては、コロナ禍ということで医療機関への営業を控えたからだ。
メディアマッチングサービスの「メディチョク」の売上高は92百万円(前年は4百万円)と大きく伸びている。「アポチョク」の売上高は5百万円にどどまる。
Enjinはメディア関連の総合的なコンサルティングサービスを提供しており、ブランディングPR事業では成功報酬で収益を得ている。Enjinはテレビ局、新聞社、出版社、ラジオ局、オウンドメディアと関係を持ち、番組・記事などでネタがほしいメディアにとっても「メディチョク」を通して取材対象や情報を得る手段となっている。今後、メディアが「メディチョク」をどこまで使用するかが大きなカギになる。現状としてはYouTube(ユーチューブ)やツイッターなどネタを仕入れる機会は多く、「メディチョク」がどこまで活用されるかにかかっている。
メディアとしては、「メディチョク」を通して、スポンサー(広告主)になりえる企業や医療機関との接点と考えるのであれば活用が広がってくるかもしれない。
■Enjinの株価推移は?
Enjinの時価総額は約300億円。Enjinは前年比+40%を超える成長と高い収益性により株価指標的には将来の成長を織り込んだ形だ。Enjinは東証マザーズに上場したばかりで、いまのところ上昇トレンドを形成しているように見えるものの、適正な企業価値がよく見えないというのが実情だ。
2022年5月期も+40%を超える成長で大幅な増収増益を予定している。Enjinは利益率の高さが魅力で営業利益率は+30%を超える計画だ。上昇トレンドにのれば、時価総額は400億円~500億円くらいまで短期的に到達する可能性も十分ありえる。ただし、成長鈍化が見えたときには株価は急落してしまうので、その点に留意は必要だ。
以 上