WEBサイト導入から運用・保守までサポートするソフトクリエイトホールディングス。毎年20%を超える売上規模の拡大をつづけ、業績をのばしている成長企業だ。2020年3月期の売上高は238億円(前年比+23%)、営業利益23.8億円(前年比+26.1%)と成長性と収益性ともに高い。1976年創業の歴史ある企業であるものの、時代の変化に対応して売上高を伸ばし、ここ10年で株価は10倍のレベルまだ上昇。ソフトクリエイトの成長はどこまでつづくのか?
■基本情報(2020年6月12日時点)
- 株価:2,098円
- 時価総額:289億円
- 予想PER:19.9倍
- PBR:2.84倍
- 予想配当利回り:0.95%
■堅実な成長企業、IR活動は改善余地あり!
ソフトクリエイトの業績は絶好調で、株価は上場来高値ちかくまで上昇している。いっぽうで、ソフトクリエイトの業績を時価総額の点からみると、それほど株式市場では評価されていない。その理由の1つは、IR活動がいまいちである点だ。
ソフトクリエイトのIR資料をみると、作成必須の決算短信、有価証券報告書などは当然あるものの、投資家向けの決算説明資料などを作成していない。そのため、同社のホームページなどからくわしい事業内容を理解するしかない。IT企業の事業はしっかりした説明がないとビジネスモデルがわかりにくいのが実情だ。
決算短信をみると、ソフトクリエイトはECソリューション事業(売上高:約5割)、システムインテグレーション事業(同:2割)、物品販売事業(3割)の3つに事業をわけている。利益面をみると、ECソリューション事業とシステムインテグレーション事業でほぼ稼いでいる構造だ。
ソフトクリエイトのビジネスモデルは、ECサイトを構築したい企業に向けて、パソコン・サーバーなどのハードを提供し、ECサイトの導入、運用、保守をおこない、システム環境の最適化(システムインテグレーション)を提供している。
■ECソリューション事業とシステムインテグレーション事業!
ソフトクリエイトのECソリューション事業は、ECサイト構築から保守まで提供している。顧客をみると、上場企業をはじめとした大手企業が少なくない。たとえば、ハニーズ(Honeys)、4°C、メガネスーパー、ビームス(BEAMS)、ロッテ、カルビー、サッポロ、東日本旅客鉄道(JR東日本)など。
ECソリューション事業は、ECサイトの導入だけでなく、ECサイト運営におけるマーケテイングなども提供しているため、継続的に課金できるビジネスモデル。顧客の大手企業としても、ECサイトの導入から保守まで自社ですべておこなえる企業はあまり多くないため、サービスを提供してくれる企業が必要になる。また、ソフトクリエイトが上場企業である、という点も、大手企業の担当者として導入時の重要な選択の理由になる。
このようにして顧客企業と関係を構築し、ソフトクリエイトはシステムインテグレーション事業にて、顧客企業のシステム環境の改善として、クラウド化、パッケージソフト導入などを提供している。それぞれの事業が関連しているため、物品販売事業で稼げなくても、ほかの事業でしっかり顧客から稼げる構造をつくっていることがソフトクリエイトの強みと言える。
■ソフトクリエイトの株価推移は?
ソフトクリエイトの株価は、上場来最高値圏にきている。2009年からの株価推移をみると、かなり上昇しすぎているように見えるものの、時価総額はいまだ約290億円という規模にとどまる。現在の株価でも予想PERは19.9倍程度。ここから成長性と収益性が評価されれば、まだまだ上昇の余地は大きい。
IRでの開示されておらず、はっきりした数値はわからないが、サブスクリプション型の継続課金の割合も少なくないはずだ。ECサイトの運営・保守手数料やシステム運用・保守費などは継続的な売上高になっていると思われる。売上高に占める割合はわからないものの、事業拡大とともに堅調に増えているはずだ。
以 上