Azure OpenAIサービス、エッジAI、ディープラーニングなど最新のデジタル技術を活用してビジネス展開しているヘッドウォータース(Headwaters)。上場しているベクトル、チェンジ、エアトリなども投資したスタートアップ企業であり、将来性が高いと思われる。しかしながら、期待感とは別に、事業の規模感や利益は意外なほど小さい。今後のヘッドウォータースの業績と株価の行方は?
多角経営でエアトリ経済圏を拡大するエアトリ、投資事業は絶好調!(2022年10月2日投稿)
「ふるさとチョイス」のチェンジ、ふるさと納税は前年比倍増の勢い!(2021年5月30日投稿)
■基本情報(2023年8月16日時点)
- 株価:6,690円(10年来高値:18,125円)
- 時価総額:125億円
- 予想PER:145.7倍
- PBR:13.74倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:71.1%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:1,337人(2022年12月31日時点)
■ヘッドウォータースの業績は?
ヘッドウォータースの2023年12月期の第二四半期の売上高は11.6億円(前年比+79.3%増)、営業利益46百万円(前年は+1百万円の黒字)と増収増益。ヘッドウォータースの売上総利益率は+34.1%(前年は+41.7%)と低い。AIやDXなどの最先端技術を提供している企業としては付加価値が低いのが気になる。
ヘッドウォータースの売上総利益は前年の2.7億円→4.0億円と+1.3億円の増加、販管費は2.7億円→3.5億円と+0.8億円の増加となり、差し引きで営業利益は+0.5億円の増加となった。
■ヘッドウォータースの事業内容は?
ヘッドウォータースの決算説明資料を見たものの、正直、会社の概要やサービスの説明がほぼゼロのため、事業内容を理解するのがむずかしい。ヘッドウォータースの会社ホームページをみると、マルチAIプラットフォーム、AI活用型ナレッジ共有、対話コンテンツ共通管理サービス、動画AI自動字幕生成サービスなど数多くの自社製品を提供している。
ヘッドウォータースの守備範囲は、音声AIソリューション、AI予測サービス、IoTディベロップメントなどAIやDX関連のキーワードが多く出てくる。ヘッドウォータースの従業員数は148名で、これほど多くの自社サービスを展開できていることが驚きだ。なお、受注が好調であれば、数多くの中途採用を募集していると推測したものの、DODAなどの人材採用の仲介サイトにはそれほど多くの求人は掲載されていない。
AIエンジニアの募集は年収400万円~700万円と意外なほど少ない。有価証券報告書をみると、ヘッドウォータースの従業員の平均年齢は33.1歳、平均年収は440万円と低い。
■なぜヘッドウォータースが注目されるのか?
ヘッドウォータースの顧客数は2023年6月末時点で86社(前年同期は92社)とそれほど企業数は多くない。また、1社あたりの売上単価(四半期)は6.5百万円とそれほど高くない。1社あたり月平均で考えると2.2百万円しかない。
事業モデルも不明で、企業にエンジニアが常駐やリモートで専属で対応する方法であるのか、自社プロダクトを前面に押し出し展開する方法か不明。正直、事業内容や利益モデルが理解できず、それほど成長性と収益性が高くないのであれば投資できないというのが答えではないだろうか。
■ヘッドウォータースの株価推移は?
ヘッドウォータースの時価総額は約125億円。現状、売上高21億円、営業利益1.2億円くらいのレベルであれば、時価総額は20~30億円というイメージ。しかも、売上総利益率は30%くらいのため、それほど期待感もない。なぜか株価は一時的に高騰したものの、マネーゲームのような位置づけに思えてしまう。
以 上