リース活用のジャパンインベストメントアドバイザー(JIA)、チャレンジングな中計発表!

 オペレーティングリースを活用した金融ビジネスで事業を拡大しているジャパンインベストメントアドバイザー(以下、JIA)。JOLやJOLCOと呼ばれるオペレーティングリースの金融商品を通して、投資家や顧客の期待に応えるビジネスを行っている。一般消費者が目にする業界ではないため、JIAの事業領域やサービスはなかなか理解できないかもしれないが、高収益で成長性が期待できる事業だ。

■基本情報(2023年9月22日時点)

  • 株価:1,787円(10年来高値:6,360円)
  • 時価総額:550億円
  • 予想PER:22.5倍
  • PBR:1.12倍
  • 予想配当利回り:1.79%
  • 自己資本比率:23.0%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:33,489人(2022年12月31日時点)

■JIAの業績は?

 JIAの2023年12月期の第二四半期の売上高は89.4億円(前年比△28.7%減)、営業利益32.0億円(前年比+113.1%増)の減収増益。JIAの売上総利益率は+74.1%(前年は+33.1%)、営業利益率は+35.8%(前年は+12.0%)と大きく改善している。

 JIAの売上総利益は前年の41.5億円→66.2億円と+24.7億円の増加、販管費は前年の26.5億円→34.2億円と+7.7億円の増加となり、差し引きで営業利益は15.0億円→32.0億円と+17億円の改善となった。

 売上総利益が前年同期が大きく悪い理由は、前年の環境エネルギー事業の売上が総額表示のため利益率が悪い案件が計上されたように見えることだ。実質的な事業トレンドをみると、事業は好調に推移していると言えるだろう。

■JIAの事業内容は?

 JIAは全体の約9割をオペレーティングリース事業となっている。航空機、船舶、コンテナなどのリースを実施し、商品出資金等と呼ばれる投資組合(ファンド)を組成し、そのファンドを販売する事業だ。JIAはそのファンドの販売手数料や管理手数料などで利益を上げる仕組みになっている。

 JOL(Japanese Operating Lease)やJOLCO(Japanese Operating Lease with Call Option)などの手法によって、商品出資金等の位置づけは異なるものの、JIA自身がリースの債権リスクを抱え込まず、小口化して投資家にリスク移譲してしまうビジネスモデル。SBIリーシングサービスやFPGなども同様にビジネスをメインとしている。

航空機・船舶などのリースファンドを活用したサービス提供のSBIリーシングサービス!(2023年9月23日投稿)

■JIAの財務状況は?

 JIAは金融事業(リース事業)をメインに行っているため、自己資本比率は23.0%とそれほど高くない。2023年6月30日時点の財務諸表をみると、現預金は135億円、商品は135億円、商品出資金816億円、信託受益権160億円、前渡金102億円など普段みなれない内容が計上されている。負債は、有利子負債が約1,300億円など計上されている。しかも、有利子負債のほとんどは短期借入金となっている。

 JIAは収益性は高いものの、将来的な金利上昇や為替リスクを大きく抱えているのが特徴だ。米国の借入金は上昇して高止まりしており、日本の金利もこれから上昇していくことが予想される。

■JIAの株価推移は?

 JIAの時価総額は約550億円。株価は2018年に大きな山をつけて、そこから6分の1くらいまで下落。含み損を抱えている投資家も少なくないため、これが株価上昇の重しになっていることだろう。

 すでに既存株主は3万人を超えており、新規にここからJIAに投資する投資家はどれほどいるだろうか。JIAの業績は好調であるものの、抱えている金利や為替のリスクが大きく、一気に赤字になる事業とも言える。直近の株価は上昇しているものの、ここから2倍、3倍と株価が上がるかは業績の転換を見極める必要がありそうだ。

(画像1)JIAの株価推移

以 上

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