デジタルトランスフォーメーションの支援や顧客サービスのUI/UXなどのユーザビリティ改善支援などを行っているプロジェクトホールディングス(旧プロジェクトカンパニー)。従業員148名、そのうち37名が2024年4月に入社しており、社内の33%が新卒社員という会社。コンサルティング企業として顧客に付加価値を与えられる人材体制なのだろうか疑問は残る。業績も赤字を計上しており、麻布台ヒルズにオフィスを構えて大丈夫だろうか。
業績予想は前年比マイナスのプロジェクトホールディングス、株価は大きく下落!(2024年2月17日投稿)
デジタル支援のプロジェクトカンパニー、業績下方修正で成長性は鈍化か?(2023年8月20日投稿)
■基本情報(2024年8月16日時点)
- 株価:1,148円(10年来高値:7,790円)
- 時価総額:67億円
- 予想PER:ー(赤字予想)
- PBR:2.4倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:43.0%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:1,884人(2023年12月31日時点)
- 事業価値:66億円
■プロジェクトホールディングスの業績は?
プロジェクトHGの2024年12月期の第二四半期の売上高は26.9億円(前年比△14.1%減)、営業利益△1.5億円(前年は+4.2億円の黒字)と減収赤字転落となった。プロジェクトHGの売上総利益率は+33.9%(前年は+38.1%)と4.2ポイントの悪化。
プロジェクトHGの売上総利益は前年の11.9億円→9.1億円と△2.8億円の減少、販管費は7.7億円→10.6億円と+2.9億円の増加となり、営業利益は△5.7億円の悪化となった。売上規模が減少しているにもかかわらず、販管費が大きく増えたことで利益構造が悪くなっている。
■プロジェクトHGの事業内容は?
プロジェクトHGは顧客のデジタルトランスフォーメーションを戦略策定から実行・改善まで一気通貫で支援することを特徴としているコンサルティング会社だ。ここ数年でDX需要は旺盛であるものの、競合も多く、大手総合コンサルティング企業のデロイトトーマツ、KPMG、アクセンチュア、ベイカレント・コンサルティング、アビームコンサルティングなど大きく成長している。
プロジェクトHGはそれらの企業のなかでは小粒なコンサルティング企業であるものの、DXに特化した企業だ。顧客としては、SBIネオモバイル証券、島根銀行、トランスコスモスなど事例で紹介されている。従業員数は263名で、DX関連部門がもっとも多い148名。
売上高を四半期推移でみると、2023年度にピークをつけて四半期比で前期割れをしている。言い訳としては、新卒社員の受入れ等、既存社員の育成を優先したことが要因としている。しかしながら、事業をするなかで、社員教育を優先して受注獲得ができていないことは致命的だ。
■営業利益・EBITDAともに赤字転落!
プロジェクトHGは営業利益、EBITDAを重要なKPIに設定していると思われるが、両KPIともに四半期ベースで赤字に転落。正直、営業利益が20%くらいあった企業が、赤字転落するのはコスト管理がうまくできていない。
売上原価の内訳の内訳をみると、外注費が大きく、自社で人材が育たず、外部に業務委託していることが利益率悪化の要因だ。販管費をみると、エージェント報酬など採用費が75百万円で前年比+44.2%増となっている。採用に苦戦していることがわかる。なお、プロジェクトHGの平均年収は538万円、平均年齢27.3歳となっている(前年の平均年収は555万円で前年割れとなった)。
■プロジェクトHGの株価推移は?
プロジェクトHGの時価総額は67億円。すでに上場来高値から7分の1くらいまで株価は下落している。事業価値が66億円ほどあるものの、赤字脱却の明確な施策がないため、割高な株価と考えるしかない。最近は、Atlas Technologies(アトラステクノロジーズ)、ブリーチ、モンスターラボなど、ここ数年グロース市場に上場したコンサルティング企業の業績が苦戦している。実力が伴わず、上場後の業績がすぐれない状況だ。
以 上