「Money Forwardクラウド」を展開するマネーフォワード(3994)、目指す「お金のプラットフォーム」!

 会計、給与計算、経費精算などバックオフィス業務のシステムをクラウドで提供するマネーフォワード(Money Forward)。マネーフォワードは士業、商工会議所、金融機関などさまざまな団体とパートナーシップを結び、「お金のプラットフォーム」を目指すクラウドサービスを展開している。マネーフォワードの業績は堅調で、売上高は前年比+60%を超えるスピードで成長している。マネーフォワードの業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2020年11月27日時点)

  • 株価:4,395円
  • 時価総額:2,091億円
  • 予想PER:-(25億円~34億円の営業赤字の予想)
  • PBR:19.87倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:49.0%
  • 会計基準:日本基準

■マネーフォワードの業績は?

 マネーフォワードの2020年11月期の第三四半期の売上高は79.7億円(前年同期比+61.3%)、営業赤字△11.7億円(前年同期は△16.8億円の赤字)と大幅な増収は続いているものの、引き続き、赤字となっている。注目したいのは、売上高成長率が前年比で鈍化している点だ。

 2020年11月期の2Qは前年同期比+70%の成長だったものの、3Qは+47%と大きく成長が鈍化している。売上高も2Qは28.2億円だったものの、3Qは27.6億円と若干であるものの減少している。マネーフォワードの売上高の停滞は一時的なものであるのか、競合他社との競争に勝てなくなっているのか見極める段階にきたかもしれない。マネーフォワードは継続課金型(サブスクリプション)のビジネスモデルのため、成長期の営業赤字を気にする必要はないものの、売上高の成長鈍化は今後の業績に大きく影響する。成長に陰りがでてくると、株価から将来の期待が抜けていくので注意が必要だ。

■マネーフォワードのビジネス内容は?

 マネーフォワードは大きく4つのセグメントでビジネスをおこなっている。その中でも、企業や個人事業主などに会計、給与計算、経費精算などのサービスを提供している「Money Forward Business」の売上高に占める割合は約7割となっている。個人向けには銀行預金や証券口座、ポイントなどの残高を管理できる「Money Forward ME」やネットメディアとして「MONEY PLUS」などを展開している。その他にも金融機関向けなどにサービスをおこなっている。

■マネーフォワードの売上総利益率は65%前後!

 マネーフォワードをはじめ、競合他社のfreee(フリー)やラクス、Sansan、カオナビなどのクラウドサービス事業は売上総利益額(規模)と売上総利益率が重要だ。マネーフォワードの売上総利益率はだいたい65%前後。競合のfreeeは約80%と高く、その影響もあり株価は約2倍の差がでている。マネーフォワード(売上高:110億円)の時価総額は約2,000億円、freee(売上高:97億円)は約4,000億円となっている。ちなみに、「楽楽精算シリーズ」を展開するラクスの売上総利益率は65%前後、Sansanは88%前後となっている。

■マネーフォワードの費用内訳!

 マネーフォワードの費用内訳をみると、広告宣伝費の割合が少なくない。マネーフォワードは営業赤字をつづけているものの、いまは利益を出すことよりも事業拡大を重視している。現時点でも広告宣伝費や研究開発費を削減すれば、黒字化することは可能かもしれない。2020年11月期の第三四半期で約19億円の広告宣伝費を計上している。会計や給与計算などのシステムは、いったん導入すると簡単に他社サービスに置き換えることはむずかしく、マネーフォワードの解約率は1%~2%程度となっている。

これは競合他社も同様で、freeeも同様に積極的な先行投資を行い、赤字をつづけている。最近では勘定奉行シリーズを展開するオービックビジネスコンサルタント(OBC)も積極的にテレビCMを投入し、会計のクラウドサービスのシェア拡大を進めている。時代の流れとして、パソコンやサーバーにインストールしていたパッケージソフトからクラウド(SaaS)への置き換えがおこっており、マネーフォワードはじめ、各社で必死にシェア取得に努めている状況だ。

■追い風となる政府のデジタル化政策!

 日本政府はデジタル庁を新設し、行政サービスのデジタル化(電子化)を推進する方針だ。たとえば、2020年10月に電子帳簿保存法が改正されたり、2023年10月からは消費税のインボイス制度の施行が見込まれている。これまでのパッケージソフトをつかって社内で経理計算するだけでなく、世の中の流れとして金融機関、行政(社会保険事務所、国税、市役所など)との連携できるサービスが今まで以上に求められる方向で進んでいる。

■マネーフォワードの株価の行方は?

 マネーフォワードの株価の行方はどうなるのか?マネーフォワードの株価は堅調に右肩あがりの推移をつづけているものの、競合他社であるfreeeやラクスなどの時価総額とくらべると、十分に評価されていない。マネーフォワードの時価総額は約2,000億円、いっぽう、freeeやラクスは4,000億円を超える水準だ。正直、競合他社との株価の評価の差は、機関投資家などの期待値の差だ。マネーフォワードは企業向けサービスだけでなく、個人向けの「Money Forward ME」を展開し、1,000万人を超えるユーザーを抱えているものの、このサービスの収益はそれほど大きくない。

 マネーフォワードは個人向けサービスの印象が強く、freeeやラクスは企業サービスに特化。個人向けサービスを展開するSansanの株価も同様にfreeeやラクスほど評価されていない。将来の事業規模や収益の拡大を考えたときに、この事業領域は企業向けに展開するほうが株価としては評価されやすい。

 マネーフォワードで心配されるのは、四半期ベースでの急激な成長率の鈍化だ。2020年2~3月のコロナショックで株価が大きく下落し、現在は上場来高値圏まで反発したものの、このまま成長率が鈍化すると広告宣伝費を削っても、将来的にそれほど営業利益を出せないかもしれない。これから数年後を考えると、事業規模の更なる拡大に向けて、何か施策が必要だ。

(画像5)マネーフォワードの株価推移

以 上

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