非日常領域のファッションアイテムを提供するエニグモ(3665)、通販サイト「BUYMA」運営!

 30代の女性を中心にファッションアイテムのECサイト「BUYMA(バイマ)」を運営しているエニグモ。総取扱高は約500億円で、売上高は60億円であるものの営業利益率が40%を超える高収益企業だ。出品者と購入者の双方から手数料を取るビジネスモデルで、基本的に自社が売り手にならずに売買の場を提供している。メルカリが個人間の中古品の仲介をしている一方、エニグモは世界の個人や法人の売買を仲介するビジネスモデルを築いた。エニグモの業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2020年12月11日時点)

  • 株価:1,382円
  • 時価総額:589億円
  • 予想PER:28.7倍
  • PBR:7.31倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:81.7%
  • 会計基準:日本基準

■エニグモの業績は?

 エニグモの2021年1月期の第二四半期の売上高は29.6億円(前年同期比+10%増)、営業利益は11.3億円(前年同期比△0.5%減)と増収減益となった。新型コロナウイルスの影響により2020年4月の総取扱高が前年同期比△78%と急減し、1Qの営業利益は前年同期比△21%の4.7億円と足を引っ張った。2Qは大きく改善し、営業利益は6.5億円を確保。コロナ禍で「BUYMA」の取引が活発化し、前年同期比120%前後で推移している。

 エニグモで注目すべきは営業利益率の高さ。営業利益率は40%を超えており、固定費を抑えた経営をしており、よほどのことがない限り赤字にはならないビジネスモデルとなっている。広告費を年間20億円ほどつかっており、広告費の削減余地も残る。年間で20億円近い営業キャッシュフローを稼ぎ、積み上がった現預金は約90億円となった。もちろん、無借金経営だ。

■「BUYMA」の事業内容は?

 Amazon(アマゾン)、楽天市場、LOHACO(ロハコ)、ZOZOTOWNなどのショッピングサイト(ショッピングモール)を知っている人は多いが、エニグモが運営する「BUYMA」を知っている人はそれほど多くない。言い換えると、「BUYMA」には成長余地が残っていると考えることができる。「BUYMA」は個人(法人)と個人の国境をまたいだ売買を仲介するECサイト。「BUYMA」では決済手段などを提供し、世界のパーソナルショッパー(個人出品者)をサポートするビジネスモデル。

 世界中にいる日本人を中心としたパーソナルショッパーが注文が入ってから現地のショップなどで買付をおこない、日本の注文主(購入者)に出荷する仕組みだ。パーソナルショッパーは無在庫OKで、登録・出品ともに0円となっている。ユーザーの約7割が女性で、平均年齢は34歳となっている。

■海外にも展開している「GLOBAL BUYMA」!

 現在は日本の「BUYMA」だけでなく、海外居住者向けの「GLOBAL BUYMA」も展開している。アメリカが中心だ。この点もエニグモはメルカリと似ている。エニグモは日本でしっかり利益を出し、新しいビジネスとしてアメリカで新たな市場を開拓を目指している。ただし、日本の登録者数は約800万人であるいっぽう、「GLOBAL BUYMA」の登録者数は14.7万人。まだまだ赤字が続いていると思われる(事業別の損益は公表されていない)。

■「BUYMA」のKPIは?

 「BUYMA」の会員数は約800万人。会員数、総取扱高、取扱件数ともに右肩あがりがつづき堅調だ。やはり気になるのは市場規模。現在のエニグモの売上高は約60億円。将来的に100億円~300億円を目指せるのか、「BUYMA」の将来的な市場規模がイマイチ見えてこない。どこで成長が止まるか心配な面はある。現在は前年比で+15%を超える売上高の成長を見せているが、このままだと次第に成長率は鈍化してくることが予想される。次にどのような戦略を実施するか気になるところ。

■エニグモの社名が覚えにくい!

 エニグモの株価の話の前に、エニグモという社名について。とにかくエニグモという社名が覚えにくいことが気になる。いっそのこと、社名を「BUYMA(バイマ)」に変えてしまったほうが良いのではないだろうか。エニグモという社名の由来は、「謎、不可解、神秘」という意味のある「エニグマ(enigma)」から取り、音のよかったエニグモを命名している。エグモニ、エグニモなど間違えやすいので注意が必要だ。

■エニグモの株価推移は?

 エニグモの株価は右肩あがりがつづく。新型コロナウイルスの影響で2020年3月には大きく下落したものの、現在ではその影響を上回る株価をつけている。時価総額は約590億円。売上規模は小さいものの、ビジネスモデルと収益性が評価されている。いまのところ、株価は割高でも割安でもないが、事業内容では時価総額2,000億円を目指せる将来性は見えてこない。何か新しい事業の取り組みを中期経営計画などで示してもらいたい。いまだ配当金ゼロで、積み上がった現預金の活用が気になるところ。

(画像5)エニグモの株価推移

以 上

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