24時間マシンジム特化の「エニタイムフィットネス」、Fast Fitness Japanの業績と株価の行方は?

 日本で24時間マシンジム特化型フィットネスクラブチェーン「ANYTIME FITNESS(エニタイムフィットネス)」を展開しているFast Fitness Japan(以下、「ファストフィットネス」)。ファストフィットネスは2010年5月に設立された企業であるものの、創業10年で全国47都道府県に872店舗、会員数55万人の規模まで拡大している。ファストフィットネスの今後の業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2021年4月16日時点)

  • 株価:4,155円(10年来高値:4,800円)
  • 時価総額:647億円
  • 予想PER:176.8倍
  • PBR:8.91倍
  • 予想配当利回り:0.2%
  • 自己資本比率:36.5%
  • 会計基準:日本基準

■ファストフィットネスの業績は?

 ファストフィットネスの2021年3月期の第三四半期の売上高は80億円(前年同期比△4.3%減)、営業利益15.2億円(前年同期比△32.8%減)の減収減益となった。新型コロナウイルス拡大による2021年3月期の1Qの休業影響が大きく響いたものの黒字を確保した。

 ファストフィットネスの売上総利益率+40.3%(前年同期は+47.2%)、営業利益率は+19.0%(前年同期は+27.1%)と非常に高い。総合スポーツジムのセントラルスポーツやルネサンスなどが苦戦するなか、スポーツジム業界では独り勝ちの状態だ。

■ファストフィットネスのビジネスモデルは?

 ファストフィットネスは世界最大級のフィットネスチェーンAnytime Fitness,LLCより日本国内におけるマスターフランチャイジーの権利を得ている。ファストフィットネスは自社(AFJ Project)で「エニタイムフィットネス」直営店152店舗を展開し、FC店(フランチャイズ店舗)で720店舗を展開している。FC店からはロイヤリティなどが入ってくる仕組みだ。

 総合スポーツジムやプライベートジム(ライザップなど)と異なり、フランチャイズ方式を活用して、たった10年間で急速に成長しているのがファストフィットネスだ。

■驚異的な成長力の「エニタイムフィットネス」!

 ファストフィットネスの成長性は高い。創業10年で全国872店舗、会員数55万人が利用している。注目べきは新型コロナウイルス影響のあった2020年4月~12月に合計134店舗(FC店:115店舗、直営店19店舗)を新規出店している点だ。会員数自体は2020年3月末の58.2万人を下回っているものの、新型コロナウイルスの影響が減少したときにプラス効果を発揮するだろう。

■ファストフィットネスの売上高内訳は?

 ファストフィットネスは3つの収入で売上高を構成している。1つは直営店の店舗売上高(会員月額料金など)、2つ目はFC売上(FC店舗からのロイヤリティなど)、3つ目は紹介料(FC店舗の設計~マシン選定までの送客紹介料)。直営店の売上高とFC売上がおおむね半々となっており、よいバランスを保っている。

■グローバルなエニタイムフィットネス!

 ファストフィットネスの展開している「エニタイムフィットネス」は世界28か国、約4,800店舗で展開されている。日本の「エニタイムフィットネス」は北米に次ぐ、世界2位の店舗数となっている。24時間フィットネスクラブはここ数年で広がり、競合も増えている。24時間営業であるものの、スタッフが必要な時間は朝~夕方までと限られる点もフランチャイズしやすさの魅力となっている。

 競合他社の24時間スポーツジムでは、たとえば、ジョイフィット24、ファストジム24、スマートフィット100、ルネサンス24など。総合スポーツジムも24時間スポーツジムを展開しはじめており、今後の競争はさらに激しくなるだろう。会員の月額は5,000円~9,000円で総合スポーツジムの月額1万円よりも安い設定になっている。ファストフィットネスの成長スピードはこれから減速してくると思われるが、すでに構築したブランド力は強い。

■ファストフィットネスの株価の行方は?

 ファストフィットネスの時価総額は約650億円。2021年3月期の見通しは売上高111億円、営業利益21.4億円。スポーツジムは安定的に月会費が入ってくるサブスクリプション型ビジネス。ただし、「エニタイムフィットネス」は全国872店舗で展開されており、ここから店舗数が倍増することは難しい。これから成長速度が減速することにも留意が必要だ。すでに主要な駅周辺にはスポーツジム数店舗が競い合う状態になっている。

 ファストフィットネスは、いまのままでは売上高は200億円前後で停滞すると思われる。同業他社も24時間スポーツジムの分野に参入しており、月会費の低下も予想される。すでに月会費が5,000円前後の24時間スポーツジムも出てきている。ファストフィットネスが売上高200億円、営業利益40億円(税引後利益30億円)まで成長すると仮定した場合、予想PER25倍で試算すると時価総額は750億円となる。株式相場の地合いで大きく株価は動くものの、時価総額750億円が一つの目安になるかもしれない。

(画像6)ファストフィットネスの株価推移

以 上

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