電力発電大手の電源開発(以下、Jパワー)が2021年4月30日に決算を発表。2021年3月期の決算は事前予想どおりだったものの、2022年3月期は減収減益の弱気予想。ゴールデンウイーク明けの株式市場では弱気スタートになりそうだ。あわせて中期経営計画(2021年~2023年度)を発表した。Jパワーの業績と株価の行方はどうなるのか?
J-POWER(Jパワー)、業績修正で「未定」へ、JEPX価格高騰の影響は不明!(2021年1月30日投稿)
石炭・LNG火力と再生可能エネルギーのJパワー(電源開発)、割安株の行方は?(2021年1月16日投稿)
■基本情報(2021年4月30日時点)
- 株価:1,746円(10年来高値:4,690円)
- 時価総額:3,196億円
- 予想PER:9.4倍
- PBR:0.4倍
- 予想配当利回り:4.3%
- 自己資本比率:28.5%
- 会計基準:日本基準
■Jパワーの業績は?JEPX高騰影響の説明は?
Jパワーの2021年3月期の売上高は9,091億円(前年比△0.5%減)、営業利益778億円(前年比△7.0%減)の減収減益となった。Jパワーの営業利益率は+8.5%(前年は+9.1%)。
2020年12月中旬から日本卸電力取引所(JEPX)のスポット取引価格が高騰したことにより、Jパワーの業績に大きな影響が発生。2021年3月31日に「電力価格高騰に伴う営業利益、特別損失及び持分法による投資損失の計上に関するお知らせ」を公表した。
その公表によると、Jパワー単体は+720億円の利益が出たものの、子会社のJ-POWERサプライアンドトレーディング(100%子会社)で△740億円のマイナス影響が発生。KDDIとの合弁会社であるエナリス(出資比率41%)においても多額の損失が発生し、今回、関係会社株式評価損として△141億円を特別損失に計上。エナリスの当期純損失やのれんの減損により、持分法による営業外費用として△115億円を計上すると発表。しかしながら、今回の決算短信や決算説明資料では本件については、まったく触れられていない。
■弱気な2022年3月期の予想!
Jパワーの2022年3月期は減収減益になる弱気予想だ。決算説明資料のグラフで損益要因は明記されているものの、具体的な発電量の行方など説明は一切ない。減益要素としては、発電事業の粗利減△90億円、設備保全コストなどの費用増で△110億円。いっぽう、持分法投資利益が+115億円の増加を予想している。ただし、説明はまったくないので中身はわからないのが実情だ。
■とにかく再生可能エネルギーの説明!!
Jパワーの決算説明資料と中期経営計画をみると、カーボンニュートラル・再生可能エネルギーの説明に尽きる。Jパワーの現在の電源構成(発電比率)をみると、火力発電(石炭、ガス)の発電割合が約65%。言い換えると、すでに35%は再生可能エネルギーによるもの。Jパワーの再生可能エネルギーの発電量は約9,700MW。再生可能エネルギー大手と言われるレノバの発電量は約330MW、EF-ON(エフオン)の発電量は約60MWとJパワーのほうが圧倒的に規模は大きい。しかしながら、レノバの現在の時価総額は約2,600億円(Jパワーは約3,200億円)と評価が高い。中期経営計画では、これからの再生可能エネルギーの拡大について述べられている。
■中期経営計画の目標は?
Jパワーの中期経営計画をみると、連結経常利益は2年後の2023年度に900億円以上(2020年度は609億円)、再生可能エネルギーは2025年度までに1,500MW以上(現在は約9,700MW)、CO₂排出量削減は2030年までに△40%以上の目標となっている。株価面で、どこかのタイミングでJパワーの取り組みが評価されることを期待したい。
■Jパワーの株価推移は?
Jパワーの時価総額はたった3,200億円。業績にくらべると、かなり評価は低い。2022年3月期も弱気な予想のため、足元の株価は低迷するかもしれない。しかしながら、利益をしっかり出しながらカーボンニュートラルの取り組みを行っているため、どこかで企業評価の見直しが入るはずだ。水素技術など新しい分野にも期待したい。
以 上