小売店舗を中心に会員属性や行動履歴情報をワンストップで管理する「betrend(ビートレンド)」の開発・販売をおこなっているビートレンド。2020年12月17日に東証マザーズに上場。従業員数は48名。新型コロナウイルスの影響により実店舗が苦戦し、ビートレンドのビジネスにも影響がでている。ビートレンドの業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2021年6月11日時点)
- 株価:3,105円(10年来高値:10,500円)
- 時価総額:33億円
- 予想PER:32.8倍
- PBR:5.34倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:86.2%
- 会計基準:日本基準
■ビートレンドの業績は?
ビートレンドの2021年12月期の第一四半期の売上高は2.1億円(前年同期比+3.0%)、営業利益△2百万円(前年同期は23百万円の黒字)の増収だったものの営業赤字転落となった。ビートレンドの売上総利益率は+52.0%(前年同期は+56.6%)となっている。ビートレンドの販管費の総額は年間で約4億円とそれほど大きくないため、売上高が一定規模を超えると、しっかり利益がでてくる仕組み。
新型コロナウイルスの長引く影響により、実店舗のマーケティング支援ツールである「betrend」の導入がそれほど進まなかった。売上高の内訳をみると、サブスクリプション型の売上高は80.7%と高く、いかに導入企業を増やしていくかが課題となっている。
■ビートレンドのCRMサービス「betrend」とは?
ビートレンドの製品は顧客管理システム(CRMサービス)の「betrend」一本と言ってよい。「betrend」は会員証バーコードを表示したり、お知らせ(プッシュ通知)、クーポン配信、利用履歴など顧客管理を活用したマーケティング(拡販)を支援するクラウド型のサービス。
「betrend」は初期費用は3万円または50万円、月額1万円~10万円くらいがスタンダードになっている。もちろん、カスタマイズ次第で料金は変わってくる。基本は年間契約で、たとえば、短期契約で6カ月契約だった場合は月額料金が1.5倍となる。
2021年4月8日にはラーメンチェーン大手の幸楽苑に「幸楽苑公式アプリ」の一部サービスを提供。公式アプリと「betrend」を連携させ、モバイルオーダー機能を搭載した。全国220店舗の幸楽苑で使用されることとなったため、2021年4月~の売上高に少なからずプラスで影響が出るのではないだろうか。
■ビートレンドの株価の行方は?
ビートレンドの時価総額は約30億円。現在の業績だけをみると妥当な水準だ。しかしながら、サブスクリプションモデルの事業で、クラウドサービスである点などを考えると割安な水準と言える。新型コロナウイルスの影響が収まり、実店舗がデジタルツールの導入を検討する余裕が出た際には、ビートレンドの業績にプラスで作用するのではないだろうか。
心配な点は、Tカード、楽天ポイント、PayPayなどの既存に会員管理サービス。これら会員情報を握っている会社がCRMサービスに手を伸ばしてくるとビートレンドにとっては悩ましい。ただ、実店舗のCRMサービスの市場はそれほど大きくなく、参入する可能性はそれほどないのでは?と前向きに考えたい。
以 上