AIを活用した気象予測のウェザーニューズ、船舶・航空・陸上からスポーツまで!

 航海気象、航空気象からスポーツの気象情報サービスなどあらゆる気象・気候の情報サービスを展開しているウェザーニューズ(ウェザーニュースではなく「ズ」)。従業員数は2021年5月末時点で1,012名。気象予測のためのIoT機器を活用して90%以上の予報精度を追求しているウェザーニュース。外航船の気象サービスは全世界のシェア25%(約5,300隻)、航空気象は全世界シェアは約18%となっている。ウェザーニュースの業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2021年7月2日時点)

  • 株価:5,670円(10年来高値:6,440円)
  • 時価総額:672億円
  • 予想PER:32.7倍
  • PBR:4.05倍
  • 予想配当利回り:1.76%
  • 自己資本比率:86.8%
  • 会計基準:日本基準

■ウェザーニューズの業績は?

 ウェザーニューズの2021年5月期の売上高は188億円(前年比+5.0%増)、営業利益24.4億円(前年比+7.2%増)の増収増益となった。ウェザーニューズの売上総利益率は+39.4%(前年は+37.0%)、営業利益率は+12.9%(前年は+12.7%)。基本的に在庫を持たないデータ・情報サービスのため、もう少し売上総利益率はよいと思ったものの、+40%を下回るレベル。しかしながら、固定費比率がそれほど高くなく損益分岐点を大きく超えているため、年間で20億円を超える営業利益となっている。

■ウェザーニューズの事業内容は?

 ウェザーニューズの事業内容は、主に船舶や航空などの物流や旅客で航路の気象・天候に大きく運行時間や燃料を左右される業界にサービスを展開している。たとえば、船舶では気象情報を入手することで航路を柔軟に変更する。年間で全世界9,800隻以上の船舶を支援しており、世界シェアは約25%となっている。また、港湾作業の会社には、強風や突風などの観測情報を活用して安全なクレーンオペレーションに活用している。

 航空気象については、航空会社に対して飛行計画作成段階から到着航空の気象条件から通常運航、遅延、欠航など判断する気象情報を提供している。航空会社は余剰燃料の搭載要否などの判断にも活用している。

 スポーツ気象として、たとえば、2016年8月のリオ・オリンピック大会では、ラグビー、トライアスロン、セーリング、ホッケーなど7競技18チームをサポート。試合時間帯の降雨や風などの情報を提供。冬季オリンピックでは雪質や雪温予想などのコンディション情報を提供している。スポーツの大会運営者も悪天候による競技の中止の判断などに活用している。

■スマホアプリなど天気情報で稼ぐ!

 BtoB向け以外では気象・天候など天気情報をスマートフォンを中心としたインターネットで「ウェザーニュース」として気象・天候情報を提供している。無料で見れる範囲も多く、数多くのサービスとも提携している。ビジネスモデルとしては、有料会員+広告モデルが基本だ。ニュース系ではスマートニュース、グノシー、ヤフーニュース、LINE NEWSなどに提供。動画系ではユーチューブ、ニコ生などに提供している。

■ウェザーニューズの中期経営計画は?

 ウェザーニューズの中期経営計画を見ると、2023年5月期には売上高210億円、営業利益31億円、営業利益率14.8%を目指している。外航船へのサービスは現時点で5,300隻。2023年5月期には9,200隻を目指す。航空会社へのサービスは現時点で59社、2023年5月期には85社の世界シェア25%を目指す。

■ウェザーニューズの株価の行方は?

 ウェザーニューズの時価総額は約670億円。株価指標的には割高感はない。ウェザーニューズで気になるのは成長性の鈍化だ。売上高の伸び率は1ケタとなっており、今後の成長余地にそれほど期待が持てない。ウェザーニューズは専門性が高く、同業他社の参入は非常にむずかしい。いっぽうで、BtoBとBtoCともに今後の成長市場が見えてこない。

(画像1)ウェザーニューズの株価推移

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする