旅行比較サイト「トラベルコ」のオープンドア(3926)、成長ひと休みか?今後の株価は?

 国内・海外ツアーやホテルを比較できる旅行比較サイト「トラベルコ」を運営しているオープンドア。2015年12月に上場してから2018年9月に上場来最高値をつけ、その後、株価は下落トレンド。現在は上場来高値から3分の1くらいの株価となった。高い成長率を誇ったオープンドアも2020年度の売上高は前年割れ。今後の株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2020年6月5日時点)

  • 株価:1,373円
  • 時価総額:429億円
  • 予想PER:-(未定)
  • PBR:6.95倍
  • 予想配当利回り:0%

■「トラベルコ」一本足打法のオープンドア!

 オープンドアのビジネスは旅行比較サイト「トラベルコ」のみと言っても過言ではない。日本の伝統工芸作品を紹介するインターネットサイト「GALLERY JAPAN」を展開しているものの、ほぼ売上高はない(決算説明資料でも開示はない)。

 「トラベルコ」の役割は、国内・海外ツアーやホテルを探している人が、複数の旅行サイトを並べて最安値を探せるサイトだ。「トラベルコ」自身がそのツアーやホテルの予約を仲介するのではなく、旅行サイトのAgoda(アゴダ)やエクスペディア(Expedia)、楽天トラベルなどに「送客」するビジネスモデルだ。

 「トラベルコ」はその紹介数や成約によって手数料を受けとる仕組み。同業他社としてはtrivago(トリバゴ)が該当する。

■新型コロナ前から成長は鈍化気味の「トラベルコ」!

 オープンドアの株価は2018年9月から下落トレンドがつづいている。その理由は「トラベルコ」の成長鈍化だ。2020年度のオープンドアの業績は売上高49億円(前年比△0.7%)、営業利益15.4億円(前年比△9.7%)といずれも前年割れ。たしかに営業利益率は30%を超えているものの、売上高50億円前後で事業規模の限界が見えてきた形だ。

 2020年度の業績に関して、オープンドアとしては新型コロナウイルスの影響で2020年2月~3月の海外・国内旅行が中止となった影響としているものの、その前から成長の鈍化は見えていた。その四半期ベースの成長鈍化を株価は2018年中頃から織り込みはじめ、コロナショックによる株価下落前の段階で1,300円(上場来高値:3,600円)まで落ち込んでいた。

■オープンドアの今後の成長戦略は?

 オープンドアは2020年度の成長戦略として、テレビCM、新規連携(クラブメッド、エアトリなど)、山陽・九州新幹線の掲載、多言語版の「Travelko」の強化に取り組んだ。

 今後の取り組みとして、テレビCMによる政府施策(GO TOキャンペーン等)に対応したプロモーション、新型コロナ終息後の商品拡充、ユーザの口コミ・評価サービスの構築など掲げている。しかしながら、「トラベルコ」の一本足打法はいままでと変わらず、旅行需要が回復しないと業績面での成長はむずかしい。

 オープンドアに足りないのは、これまでのノウハウ・経験を生かした新規事業の創出やM&Aによるビジネス領域の拡大ではないか。このままでは売上規模50億円を大きく超えるような企業に成長する姿は見えない。もちろん、普通の企業で毎年50億円の売上高があり、営業利益15億円を稼げることはすばらしいものの、株式市場で評価され、株価がもう一度、上昇トレンドに乗るのはむずかしい。

■オープンドアの株価推移は?

 オープンドアの株価は下落トレンドがつづいている。2020年2月~3月のコロナショックによる株式市場の暴落により、現在は反発相場に突入しているものの、どこかで反転も止まるはず。オープンドアの時価総額は400億円を超えており、成長が鈍化したインターネット企業が、現在の事業規模で、この時価総額を維持するのはむずかしい。

 日経平均株価を中心に相場が悪化したときに、オープンドアはもう一度、株価下落に入る可能性が高い。もちろん、新規事業など新しいチャレンジにより状況を打開する可能性はゼロではないが、決算説明資料を読むかぎり、「トラベルコ」頼りからの脱却はむずかしい。

以 上

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