関東中心に中古車販売、輸入車(メルセデス・ベンツ、BMWなど)の正規販売店(ディーラー)を展開するケーユーホールディングス(以下、ケーユーHD)。2020年3月期の売上高は1,000億円、営業利益は54.3億円という事業規模。ここ数年は勢いよく事業規模を拡大したものの、営業利益60億円を突破できない状況がつづいている。ケーユーHDの今後の展開はどうなるのか?
■基本情報(2020年6月19日時点)
- 株価:834円
- 時価総額:368億円
- 予想PER:10.4倍
- PBR:0.57倍
- 予想配当利回り:4.43%
- 自己資本比率:63.5%(2020年3月末時点)
■コーユーHDの足元の状況は?
ケーユーHDの2020年3月期の売上高は1,000億円(前年比+2.8%)、営業利益54.3億円(前年比△5.8%)と増収減益。ここ数年は毎年+10%を超える売上高の増加をはたし事業規模を拡大してきてものの、新型コロナウイルスの影響により2020年2月~3月の販売が大きく落ち込んだと思われる。その結果、売上高は前年比+2.8%とわずかな上昇にとどまった。
ケーユーHDは、国産の中古車の売買とメルセデス・ベンツやBMWなどの輸入車ディーラーをおこなっている。売上高の比率は、国産車販売事業が約35%、輸入車ディーラー事業が約65%となっており、輸入車販売がメインの事業状況だ。ケーユーHDの営業利益でみると、国産車販売事業と輸入車ディーラー事業それぞれ約26億円となっている。
■積極的な自社株買い!積極的でないIR
ケーユーHDの株主の状況をみると、筆頭株主は自社(ケーユーHD)の28.8%となっている。配当利回りも4%を超えており、かなり株主還元を重視している会社だ。いっぽうで、ケーユーHDのホームページをみると、わかりやすい事業紹介がなく、かなりシンプルなデザインに驚いてしまった。
ケーユーHDの事業内容を詳しく知ろうと決算説明会資料を探したものの、同社は作成していない。ケーユーHDは連結ベース従業員数が1,000名を超えており、中堅企業から大企業にカウントされる規模であるものの、企業PRにあまり積極的でないイメージだ。そのため、個人投資家としては、なかなかケーユーHDの事業を理解して、株を購入するという展開になりにくい。
■ケーユーHDの事業内容は?
ケーユーHDは1988年、メルセデス・ベンツの正規ディーラーの権利を取得。「シュテルン東名横浜」としてメルセデス・ベンツの販売事業をスタート。1996年にハーレーダビッドソンとクライスラーの正規ディーラー権を取得。2000年にメルセデス・ベンツの正規ディーラー「シュテルン世田谷」を買収。2015年に「横須賀ヤナセ」を子会社化。 ケーユーHDは、輸入車ディーラー事業においては、つぎつぎと事業を取得することで拡大をつづけている。
いっぽう、中古車販売事業は「ケーユー」を全国26拠点で展開。「ケーユー」では中古車販売と自動車修理、損害保険代理業をおこなっている。ケーユーHDの売上規模は、輸入車ディーラー事業のほうが大きいものの、利益率では中古車販売事業のほうが高い。また、ケーユーHDは自己資本比率が60%を超えており、「ガリバー」を展開するIDOMや中古車買取・販売のネクステージとくらべると、財務状況には安心感がある。
■ケーユーHDの株価推移は?
ケーユーHDの時価総額は約370億円、予想PERは10倍程度。株価に割安感は見られるものの、営業利益60億円を超えられず、ここ数年、営業利益率が下がっている。ケーユーHDの株価推移をみると、2020年にはいってから移動平均線の25日線と50日線がクロスしている。
今後はここから上昇するよりも、業績が期待を超えない場合は、株価の下落トレンドに入ると考える。2012年からはじまった上昇トレンドが2018年度に終わり、現在は下落トレンドの途中にいる。今後はさらに下落する可能性があると考えておくのが妥当ではないか。このトレンドをくつがえすような、ポジティブサプライズが株価上昇には必要だ。
以 上