Webサイト運営、コンサルティング、マーケティングオートメーション(MA)支援など、企業のデジタルビジネスをサポートする事業を行っているメンバーズ。1995年6月設立の古い企業であるものの、デジタル化の波に乗り、ここ数年は業績は急上昇。社員数は2,281名(2022年12月末時点)。メンバーズの今後の業績と株価の行方は?
■基本情報(2023年2月17日時点)
- 株価:1,526円(10年来高値:3,655円)
- 時価総額:204億円
- 予想PER:23.8倍
- PBR:3.35倍
- 予想配当利回り:1.96%
- 自己資本比率:59.4%
- 会計基準:IFRS基準
- 株主数:4,472人(2022年3月31日時点)
■メンバーズの業績は?
メンバーズの2023年3月期の第三四半期の売上高は126億円(前年同期比+19.1%増)、営業利益6.1億円(前年同期比△38.8%減)の増収減益。メンバーズの売上総利益率は27.6%(前年同期は+30.0%)、営業利益率は+4.8%(前年同期は+9.4%)と利益率が下落している。
メンバーズの売上総利益は34.8億円(前年は31.8億円)と約3億円の増加。販管費は22.0億円→28.8億円と+6.8億円の増加となり、差し引きで3.8億円の悪化となった。
メンバーズは決算発表と同時に業績予想の下方修正を発表し、売上高173億円(修正前は182億円)、営業利益12億円(修正前は22億円)と大きくマイナス修正している。業績悪化の理由としては、顧客開拓が進んでいないこと、中途採用が進まず、新卒の比率が高まりサービスが低下したこと、などで売上高が大きく下がっていることや稼働率の低下をあげている。
■メンバーズの事業内容は?
メンバーズは1995年6月の古い企業であり、もともとはネット上の購買支援事業やホームページ作成(Web制作など)などの事業をおこなっていた。当時より、ただWeb制作をするだけでなく、戦略からデザインまで一括して受託できる企業だった。時代がかわり、メンバーズはソーシャルメディア支援事業に手を広げ、現在は企業のデジタルビジネス支援に主軸を移している。
具体的には、Webサイトの運用・運営、コンサルティング、マーケティングオートメーションの導入、ソーシャルメディア運営などデジタルビジネス全般の支援となっている。メンバーズはデジタルクリエーター(いわゆるコンサルタント)を新卒・中途で採用して、顧客にサービスを提供している。特化している分野がデジタルビジネス支援で、ここ数年のデジタルトランスフォーメーションの需要が大きくなり、メンバーズはその波に乗った形だ。
■デジタルクリエーターが増加!
連結ベースのデジタルクリエーターの数は2021年3月に1,306名だったものの、現在は2,020名と大きく増加。ただ、2,000名もコンサルタントがいると、その能力、知識、経験などは玉石混交と言えるだろう。中途採用がうまく進まず、新卒採用を進めた結果、サービスが低下して、受注がうまく伸びていない状況だ。
現在、成果報酬で提供している企業数は103社と前年同期比で+28社増となっている。デジタルクリエーターの稼働率は80.7%と前年同期から4.3ポイントの悪化。現在、デジタルクリエーターは2,020名いるものの、稼働しているデジタルクリエーターは1,640名となっている。顧客数は343社(前年同期は318社)。
■業績回復の施策は?
メンバーズは業績回復の施策として、①営業本部の新設による営業体制の強化、②非Web運用領域の拡大、③新卒・中途採用のバランス改善をかかげている。
とにかく、人員の増加に比較して、売上高の伸びが足りないため、営業活動の強化を進めている。また、中途採用がうまくいかず、新卒採用に偏重している。2021年度は新卒364名に対して中途採用は142名。2022年度は新卒484名に対して中途採用は187名となっている。社会人になったばかりのビジネスパーソンに企業のコンサルができるまで成長してもらうには時間がかかる。
人材紹介サイトをみると、メンバーズの中途採用の情報が多く掲載されている。マーケティング戦略支援、UI/UX(Webサイトの操作性改善)デザイナー、DXプロデューサー、アートディレクターなど。
■メンバーズの財務状況は?
メンバーズの2022年12月末の財務状況をみると、現預金は38.8億円(2022年3月末:52.3億円)、その他金融資産が3.7億円(2022年3月末)→13.1億円に大きく増えているものの内容は不明だ。
メンバーズは2008年前後に2期連続赤字、離職率25%と厳しい状況があったものの、デジタルトランスフォーメーションの波に乗って業績は急成長。ただ、ここからもう一段階伸びるかどうかは先が見通せない。
■メンバーズの株価推移は?
メンバーズの時価総額は約200億円。業績が急激に悪化しているため、株価は割高感がある。そもそも、従業員数が2,000名を超えており、年間売上高173億円で考えると、1人あたりの売上高は865万円にとどまる。現在の平均年収は約480万円であり、それほど伸びしろがあるとは見えない。正直、労働集約型のビジネスモデルである。
事業モデル的にはShift(シフト)と同じで、いかに人材を増やすかがキーになる。ただ、いまのデジタルビジネス需要がどこまで続くか見えない部分がある。顧客企業が自社でデジタルビジネスを成長させる基盤ができれば、メンバーズの出番も減ってくるのではないだろうか。
成長つづくソフトウェアテストのSHIFT(シフト)、エンジニア数6,000人!(2021年10月23日投稿)
以 上