Uber eats(ウーバーイーツ)と戦う日本のフードデリバリー企業の出前館(Demaecan)。2023年8月期の決算をみると、流通総額(GMV)は前年比90%の水準にとどまり、オーダー数も減少している。コロナ禍で盛り上がったフードデリバリーもリアル店舗に回帰している。今後の出前館の業績と株価はどうなるのか?なお、出前館の従業員数は363人、平均年齢34.9歳、平均年収578万円、それほど低くない。
急成長中のフードデリバリーサービスの出前館、コロナ禍で需要は急騰中!今後の行方は?(2020年12月26日投稿)
■基本情報(2023年10月13日時点)
- 株価:376円(10年来高値:4,200円)
- 時価総額:498億円
- 予想PER:赤字
- PBR:1.17倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:77.3%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:18,735人(2022年8月31日時点)
■出前館の業績は?
出前館の2023年8月期の売上高は514億円(前年比+8.7%増)、営業利益△123億円(前年は△364億円)と増収赤字幅の縮小となった。出前館の売上総利益率は+20.4%(前年は△4.0%)と粗利率が低い。前年の売上総利益率はマイナスで、売れば売るほど赤字が膨らむ構造だったことを考えると、2023年8月期は改善したと言えるだろう。
出前館の売上総利益は105億円(前年は△19億円)、販管費は228億円(前年は345億円)と利益がでるような構造ではない。現在の出前館の時価総額は純資産にリンクしており、今後も純資産が減ると株価は下落していくと思われる。
■出前館の事業状況は?
出前館は中期計画で、2023年8月期の売上高は970億円、営業利益120億円を掲げていたものの、ふたを開けると、売上高514億円、営業利益△123億円と大幅な未達となっている。そもそも、成長のストーリーが崩れていると言えるだろう。
正直、ここから黒字化に持っていくというストーリーが見えない。2024年8月期の業績予想は流通総額2,160億円(前年比+5%増)、売上高560億円(前年比+9%増)、営業利益△80億円とすでに成長性や収益性でまったく評価できない状態だ。唯一の救いは、LINEとZホールディングスが筆頭株主である点。どこかで出前館を救出(TOB)してくれるのではという期待感くらい。
■出前館の株価推移は?
出前館の時価総額は約500億円。すでに高値から10分の1以下に株価は下落しているものの、まだ500億円の時価総額がある。チャートを見ていると、安値のように見えてしまい、個人投資家で買いで入る人も少なくないだろう。1単元の株価も小さくなっており、買いやすいように見える。しかしながら、業績の回復がまったく期待できないので、ここから半値以下に下落する可能性あるので、慎重に判断すべきだ。
以 上