新しい商品や体験を応援購入するというコンセプトで「0次流通市場(店舗などでの販売前の市場)」を拡大しつづけるマクアケ(Makuake)。2020年3月のコロナショックで株価は下落したあと、上昇トレンドに転じたマクアケ。2020年11月には時価総額1,500億円規模まで上昇し、現在は時価総額950億円となっている。年間売上高30億円の企業が将来の成長を期待され、株価は大きく評価されている。マクアケの今後の業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2020年12月25日時点)
- 株価:8,160円
- 時価総額953億円
- 予想PER:211.6倍
- PBR:35.8倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:43.1%
- 会計基準:日本基準
■マクアケの業績は?
マクアケの2020年9月期の売上高は32.3億円(前年比+139.9%増)、営業利益は5.1億円(前年比+308.5%増)と大幅な増収増益となった。ネット通販企業の流通総額にあたる応援購入総額は146億円(前年は54.8億円)となり、前年比で+167.6%増となった。新型コロナウイルスの影響により、巣ごもり消費が高まった恩恵がマクアケに反映された形だ。
マクアケの売上総利益率は約80%で、プラットフォームを構築してしまうと流通総額に応じて売上総利益額が爆発的に増えるビジネスモデルとなっている。メルカリ、ZOZO、エニグモ、ロコンドなどのネットビジネスの手数料型企業と同じ仕組みだ。マクアケの今後の成長は、いかに応援購入総額を増やすことができるかにかかっている。
■爆発的に増加する応援購入総額!
いかに応援購入総額を増やしていくか、マクアケの最も重要な課題だ。新型コロナウイルスの影響により、リアル店舗の需要が一気に減少し、EC需要が爆発的に増加した。マクアケの取り組む「0次流通市場」にも、新しい企業が増加し、顧客もあわせて激増した結果、マクアケの業績が一気に伸びる結果となった。
■マクアケの事業モデルはどうなっているのか?
マクアケは応援購入金額の20%の手数料を受けとるビジネスモデルとなっている。プロジェクト実行者(販売側)は先行販売という形でマクアケで応援購入を募集し、サポーターが購入する。その流通総額の20%がマクアケの手数料となっている。基本的にはB(C)toCの構造だ。マクアケに在庫リスクはない。
マクアケで募集されているプロジェクト(販売商品)を見ると、「超軽量ダウン寝袋」「大容量ポータブル電源(非常用の携帯電源)」「マスク」「モバイルクッション」などのプロダクト(製品)、カバンなどのファッション製品、フルーツ(果物)やスイーツなどの食品が募集(販売)されている。募集されている価格をみると、一般に販売されているものより、かなり高い値段設定になっている。マクアケでは、先行販売という位置づけのため希少価値が高い(ここでしか買えない)ことが大きなポイントになっている。
■マクアケの経営指標をみると?
マクアケの決算資料をみると、アクセス数や会員数、決済件数など順調に伸びている。注目すべきはリピート応援購入率だ。2020年9月末時点でリピート応援購入率は71.4%となっていて、マクアケを一度利用した人は高い確率で再度利用している。これまで「0次流通市場」というマーケットがほとんどなかったものをマクアケが切り開いた先行者メリットは大きい。
1次流通市場は、アマゾン、楽天市場、ZOZOTOWN、ヤフーショッピングなどの大手企業の存在感が大きい。2次流通市場は、メルカリ、ラクマ(楽天)、リアル店舗としてはセカンドストリート、トレジャリーファクトリーなどの影響力が大きい。マクアケが競争している市場は、まったく新しい市場で、大手企業の入っていないのが競争優位性になる。いまのところ、市場規模は小さく、大手の参入のニュースは聞こえてこない。ただし、マクアケよりも小さな競合が多く、kibidango(手数料10%)、CAMPFIRE(同17%)、Wonder Stream(同9%)などがあり、どこもマクアケ(手数料20%)よりも手数料が低い。
■マクアケの株価推移は?今後の株価の行方は?
マクアケの時価総額は約950億円。いまのマクアケの決算をみると、過大評価されている。すでに数年後先までの成長性を織り込んだ株価になっている。マクアケの2021年9月期は、売上高51.7億円(前年比+60.4%増)、営業利益6.2億円(前年比+21.5%)を計画している。売上高の伸びに対して、営業利益の伸びが低いのはテレビ広告などの広告宣伝費を織り込んでいる影響と思われる。
マクアケは2020年9月期の第四四半期から「ブランディング広告費」を投入し、さらなる売上拡大の施策をうっている。この戦略が良い方向にでるか結果をみなければわからない。
マクアケの株価チャートをみると、2020年11月に当面の高値天井をつけた可能性がある。2020年8月の7,000円の抵抗線を超えると、4,500円(時価総額500億円)くらいまで下落する可能性があることに注意が必要だ。
以 上