さくらインターネット、データセンター投資の行方は?堅調な事業成長!

 レンタルサーバを中心にホスティングサービス(さくらインターネットの所有するデータ格納サーバーを貸し出すサービス)を提供している、さくらインターネット。2015年12月からフィンテックやブロックチェーン銘柄として1か月のあいだに10倍ほど株価が高騰したものの、それ以降の株価は低迷をつづけている。クラウドサービスが盛り上がるなか、さくらインターネットが注目されるチャンスは訪れるのか、業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2021年2月5日時点)

  • 株価:685円(10年来高値:2,110円)
  • 時価総額:258億円
  • 予想PER:45.4倍
  • PBR:3.21倍
  • 予想配当利回り:0.36%
  • 自己資本比率:27.5%
  • 会計基準:日本基準

■さくらインターネットの業績は?

 さくらインターネットの2021年3月期の第三四半期の売上高は160億円(前年同期比+0.8%増)、営業利益9億円(前年同期比+46.1%増)となった。営業利益が大幅に増えた要因として、販管費の減少(△3.5億円)の影響が大きい。具体的には、働き方の見直しによる旅費交通費の減少(△1.0億円)、減価償却費の減少(△0.9億円)、広告宣伝費の減少(△0.5億円)などが大きな項目だ。さくらインターネットの売上総利益率は26%前後で推移し、営業利益は5.7%。ビジネス構造的に売上総利益率の大幅な改善はむずかしいのであれば、営業利益率が10%を超えるハードルは高そうだ。

■さくらインターネットの事業内容は?

 さくらインターネットはホスティングサービスとコロケーションを主な事業としている。ホスティングサービスは自社でサーバを用意して顧客に貸し出すサービスで、コロケーションは顧客が投資したサーバを預かるサービスだ。いずれにしろ、データセンターとしてのサービスを提供している。クラウドサービスの増加にともない、さくらインターネットの需要は増えていくものの、いまの事業モデルであれば利益率がそれほど高くないのが悩ましいところ。

■データセンターの役割は?

 データセンターの役割はインターネットを経由してコンテンツを見るときに必要なもの。競合他社としてはアマゾンのAWS、マイクロソフトのAzure、GMOペパボ、GMOグローバルサインなどだ。

■さくらインターネットのセグメント売上は?

 さくらインターネットは、ハウジング、専用サーバ、レンタルサーバ、VPSなどバランスのよい事業内容となっている。さくらインターネットの事業で悩ましい点は設備投資の金額が大きい点だ。2021年3月期ではデータセンターやサーバ・ネットワーク機器で約47億円の設備投資を予定している。さくらインターネットの自己資本比率は約25%とそれほど高くないものの、前受金(負債)を44億円計上していることが表面上の自己資本比率をさらに悪化しているように見せている。

 総資産280億円にたいして、固定資産は210億円あり、IT業界の設備産業のような位置づけにある。さくらインターネットの顧客は月額料金が1,000万円を超える顧客は8社、500万円~1,000万円は15社と大口顧客がそれほど多くない。全体の60%は月額100万円以下の企業となっている。

■さくらインターネットの株価の行方は?

 さくらインターネットの時価総額は約260億円。2015年12月からのフィンテックやブロックチェーンをテーマとした急騰劇のときには一時は時価総額700億円まで株価は上昇。その後遺症なのか事業は堅調に成長しているものの、株価の上値は重い。ただ、さくらインターネットの需要は増えることがあっても減ることおは見込みにくい。同業他社のGMOペパボやGMOグローバルサインとくらべても割高感はうすい。これまでの事業ノウハウを駆使した新規事業がほしいところだ。

(画像5)さくらインターネットの株価推移

以 上

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