インターネットで工場や建設現場の部材・工具などを販売するMonotaRO(モノタロウ)。新型コロナウイルスの拡大によりインターネット経由による販売が好調だ。2020年12月期の決算発表とあわせて、2021年3月31日を基準日とする株式分割(1株→2株)を発表した。発表翌日の2021年2月3日には前日比+10%を超える大幅な株価上昇となった。2021年12月期は売上高、営業利益とも+20%を超える業績の伸びを計画している。MonotaROの業績と株価の行方はどうなるのか?
MonotaRO(モノタロウ)、工場・工事現場向けのネット通販サイト(2020年5月5日投稿)
■基本情報(2021年2月5日時点)
- 株価:5,820円(10年来高値:6,520円)
- 時価総額:1.4兆円
- 予想PER:83.7倍
- PBR:30.91倍
- 予想配当利回り:0.39%
- 自己資本比率:57.5%
- 会計基準:日本基準
■MonotaROの業績は?
MonotaROの2020年12月期の売上高は1,573億円(前年比+19.7%増)、営業利益196億円(前年比+23.8%増)の増収増益となった。MonotaROの売上総利益率は+28.4%、営業利益率は+12.5%と高い。新型コロナウイルスの影響により顧客増やウイルス関連商品の需要増が売上高の増加につながっている。販売管理費は計画対比で0.8ポイント改善しており、テレビCMの放映を削減したことにより+5.5億円の費用減となったことが大きい。
■顧客登録口座の安定的な伸び!
MonotaROの取引登録口座(単体ベース)は550万口座に到達。コロナ禍でZOZOTOWNなどのECサイトが好調であるが、工場・建設現場などで需要の高い「モノタロウ」も同様の傾向だ。ビジネス上でのEC利用が一般化しており、ユーザーがネット通販に抵抗感がなくなっていることもMonotaRO利用率改善の後押しとなっている。
■苦戦する海外事業!どうなるのか?
MonotaROの国内事業は絶好調であるものの、海外事業は苦戦がつづいている。韓国の「NVIMRO」は前年比で売上高が+14%伸びて、なんとか営業利益1億円の黒字を確保。インドネシアの「MONOTARO INDONESIA」は売上高が前年比△3.5%減少して営業利益は△3.1億円の赤字。中国の「ZORO SHANGHAI」は2020年9月18日に事業の清算を決定している。国内事業は順調であるものの、海外で同じビジネスモデルが成功するわけではないという実情だ。
■MonotaROの株価の行方は?
MonotaROの時価総額は約1.4兆円。エムスリー、メドピア、ラクス、freee(フリー)、マネーフォワード、JストリームなどITクラウドサービス企業を中心にグロース銘柄が大幅に上昇し、MonotaROもその流れにのった企業のひとつ。ただし、予想PERや予想配当利回りなどの株式指標的には割高な水準になっている。2020年3月のコロナショックから株価は約3倍まで上昇しており、ここから半値になってもおかしくない。コロナ禍の影響を除いた、つぎの四半期決算で引き続き高成長を継続できるか注意してみる必要がある。
ひとつ心配なのは、設備投資にともなう増資の懸念だ。MonotaROは新物流拠点として茨城中央SC(茨城県)を完成させ、猪名川DC(兵庫県)の建設を進めている。茨城中央SCで約100億円、猪名川DCは土地・建物はレンタル(賃借)であるが建物追加工事と設備投資で約200億円の設備投資の予定だ。MonotaROは資本金が約20億円と少なく、設備投資のため90億円ほどすでに借入を実施している。経営陣としては株価が高いうちに増資を検討するのが一般的なため、増資の可能性がある点に留意が必要だ。
以 上