紳士服大手のAOKIホールディングス(8214)、期待されるネットカフェの行方は?

 紳士服専門店で業界2位のAOKIホールディングス(以下、AOKI)。紳士服大手はAOKIホールディングスにしろ、青山商事にしろ、事業の多角化に取り組んでいる。AOKIは紳士服以外では、結婚式場のアニヴェルセル、ネットカフェの快活CLUBを展開。とくに、快活CLUBの売上高は上昇中で、AOKIのなかで期待されている成長事業。紳士服のファッション事業は売上高が減少傾向で、赤字幅が拡大して苦戦中だ。

■基本情報(2020年5月8日時点)

  • 株価:638円
  • 時価総額:580億円
  • 予想PER:120.1倍
  • PBR:0.38倍
  • 予想配当理利回り:7.21%

■気になるAOKIの配当の行方、配当利回り維持か?

 AOKIは2020年5月8日に決算発表予定だったものの、5月20日に延期。同業他社の青山商事が一足早く、無配を発表する形になった。紳士服大手は業績に見合わず高い配当利回りをかかげており、株主優待とともに個人株主には人気の株式となっている。AOKIの予想配当利回りは7%を超えた水準だ。

 個人株主は高い配当利回りと株主優待を期待しているため、配当利回りの低下や株主優待の改悪があれば、株価への影響は避けられない。業界大手の青山商事が無配を先に発表し、結果として、AOKIは青山商事の無配による株価影響を見てから配当維持か減配・無配かの対応を判断できる。

■快活CLUBの利益率も低下!

 AOKIの心配事は、主力事業の紳士服だけでない。ブライダル事業のアニヴェルセル(業界4位)は新型コロナウイルスの影響がモロに直撃した格好だ。ブライダル事業を主力とする、テイクアンドギヴ・ニーズ(業界1位)、ワタベウェディング(2位)、ツカダホールディング(3位)、エスクリ(5位)などブライダル関連企業の株価が急落している。

 また、成長事業であるネットカフェの快活CLUBも、売上高は成長しているものの、営業利益額・営業利益率ともに減少している。快活CLUBはネットカフェのなかでは清潔、個室、割安で、お客さんの評価は悪くない。ネットカフェのなかでは売上規模で業界1位の位置づけだ。その成長段階で利益率がさがってきているのはマズい。

■今後のAOKIの業績の行方は?

 AOKIにかぎらず、紳士服大手は紳士服事業でしっかり利益がでる構造をつくる必要がある。社会の変化のなかでスーツを着なくなる動きだけなく、ユニクロによる感動パンツ(ビジネス仕様のパンツ)が3,000円~4,000円で販売されていて、紳士服専門店で必ずしもビジネス用の服を買う必要がなくなっている。

 AOKIとしては、郊外に大きな面積をもつ独立店舗を今後どのようにしていくか考えていくタイミングかもしれない。大きな独立店舗がお客さんで賑わっている状況を、この10年で見ることはほとんどない。

■AOKIの株価推移は?

 AOKIの株価推移は、2018年半ばから右肩さがりのトレンドがつづく。数か月単位でみると、移動平均線から大きく乖離しているため、短期的には反発はあるかもしれない。長期的に考えると、高い配当利回りが修正された場合、ここから更に落ち込むことを想定する必要がある。

以 上

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