分譲戸建て販売のアールプランナー!資材価格上昇のマイナス影響

 愛知県名古屋を本社所在地として東海地域に強い2003年10月設立の新興不動産会社のアールプランナー(ArrPlanner)。従業員数は346名、年間売上高280億円、営業利益15億円という規模感の勢いのある会社。ただし、2023年1月期の第一四半期はウッドショックなど資材価格の上昇影響により営業損失に転落。個人投資家のに弐億貯男氏の投資銘柄として注目集めるも、今後の株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2022年6月17日時点)

  • 株価:880円(10年来高値:2,837円)
  • 時価総額:47億円
  • 予想PER:4.7倍
  • PBR:1.2倍
  • 予想配当利回り:1.7%
  • 自己資本比率:16.0%
  • 会計基準:日本基準

■アールプランナーの業績は?

 アールプランナーの2023年1月期の第一四半期の売上高は66.1億円(前年同期比+14.0%増)、営業損益△3百万円(前年同期は+1.5億円)の増収赤字転落となった。アールプランナーの売上総利益率は+15.2%(前年同期は+17.3%)と2.1ポイントの悪化となった。

 戸建の競合他社の売上総利益率は、飯田グループホールディングス+21.2%、ケイアイスター不動産+21.7%、タマホーム+23.1%、サンヨーホームズ+18.2%、ファースト住建+17.7%となっている。アールプランナーの売上総利益率の低下がウッドショックによる一時的なものか、成長性を維持するために、価格を抑えて受注確保を重視したのか見極めが必要だ。

■アールプランナーの事業内容は?

 アールプランナーは、注文住宅やリフォーム、分譲住宅の販売など戸建住宅事業がメインの会社。分譲住宅が全体の61.8%(売上高:40.9億円)を占めており、注文住宅が30.3%(売上高:20.0億円)となっている。注文住宅の売上高は前年同期の14.1億円→20.0億円と+41.5%増加しているものの、ここが売上総利益率悪化の主要因の可能性がある。

 また、分譲住宅が事業のメインのため、不動産市況が悪化した場合、有利子負債と在庫(販売用不動産)のリスクを負っているのに注意が必要だ。アールプランナーの2022年4月末時点の在庫は約190億円、有利子負債は約150億円、現預金は約28億円とほとんど借入金で在庫を保有している。万が一、在庫である分譲戸建ての売れ行きが悪化すると、一気に財務状態が悪くなるのに注意が必要だ。

 なお、有利子負債150億円のうち、1年以内に返済をしないといけないものは約100億円と銀行借入の借り換えに頼る構造になっている。

■アールプランナーの業績悪化理由は?

 アールプランナーは販売戸数は185棟(前年同期は146棟)と過去最高であるものの、利益がでていない。売上高が58億円→66億円と大きく増加しているものの、売上総利益は前年同期の10.0億円→10.1億円と横ばいであることが業績悪化の構造だ。しかも、販管費は約1.5億円の増加となっている。

 分譲戸建てを安売りしていないだろうか?世界的な資材価格の高騰は顕著で、アールプランナーは自社で戸建を建てるのではなく、あくまで設計して、建築会社に外注している。結局、建築会社への発注価格は市場価格として上昇しているのは明らかで、いかに高値で販売するかがポイントになる。ただ、高値で販売しようとすると、他社との競争に勝てるのか、という課題がある。設計力や工法などで競争力があればよいが、現時点でどこまで実力があるか未知数だ。

■アールプランナーの販管費内訳は?

 アールプランナーの年間の販管費は約36億円(前年実績)。有価証券報告書を見ると、給与手当5.3億円、広告宣伝費3.3億円、家賃2.9億円、減価償却費1.7億円と続いている。

 2022年1月末の従業員数が306名だったので、給与手当を306名で割ると、わずか1名あたり173万円と数値があわないため、人件費の一部は売上原価に入っていると思われる。

 この販管費の内訳をみると、それほど削る部分がない。広告宣伝費を大きく計上していれば削減余地があるものの、アールプランナーの現状のコスト構造では削減余地はそれほどないだろう。

■アールプランナーの株価の行方は?

 アールプランナーの時価総額は47億円。株価指標的には割安であるものの、有利子負債や事業モデルからのリスクを考えると判断できにくい。アールプランナーは在庫をかかえた分譲戸建ての販売が事業モデル。住宅ローン金利の上昇などで市場価格が下落すると、赤字でも販売せざる得なくなる。

 アールプランナーはキャッシュリッチな会社でないため、在庫リスクをどう考えるかが投資ポイントとなる。株価チャートを見るかぎり、株価は明確に下落トレンドになっており、当面は様子見が無難ではないだろうか。

(画像1)アールプランナーの株価推移

以 上

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