完全成果報酬型のコスト削減コンサルティングを実施しているプロレド・パートナーズ(Prored Partners、以下、プロレド)。BSM(Business Spend Management)システムの「プロサイン(Pro-Sign)」の帳簿価格を全額減損処理した結果、特別損失783百万円を計上して大きな赤字となった。プロレドの業績と株価の行方は?
インフレに翻弄されるプロレド・パートナーズ、赤字予想を開示!(2022年6月19日投稿)
コスト削減コンサルのプロレド・パートナーズ、期待はプロサイン!?(2022年5月2日投稿)
■基本情報(2022年9月16日時点)
- 株価:612円(10年来高値:6,280円)
- 時価総額:69億円
- 予想PER:赤字予想
- PBR:1.26倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:58.2%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:3,517人(2021年10月31日時点)
■プロレドの業績は?
プロレドの2022年10月期の第三四半期の売上高は19.8億円(前年同期比△27.4%減)、営業損益は△42百万円(前年同期は+5.1億円)と減収赤字転落となった。プロレドの売上総利益率は+50.4%(前年同期は+59.5%)と悪化している。プロレドの売上総利益は10億円に対して、販管費が10.4億円だったため、差し引きで営業損益は△42百万円の赤字となった。
プロレドは完全成果報酬型のコンサルティングを提供しており、特に光熱費(電力)のコスト削減に強みがある。電力価格高騰の影響により、コスト上昇の抑制に貢献しても、報酬の計算方式の影響で十分な報酬を受け取れていないと思われる。いまのビジネスモデル的にはインフレ下では不利なコンサルティングの報酬体系になっていると言えるだろう。
■プロレドの事業状況は?
プロレドのコンサルティングの売上高は減少しているものの、案件数は前年同期よりプラスとなっている。今期は現時点で1,586件と前年の1,563件より若干のプラスとなっている。コンサルタント数は前年の110名→93名と約17名の減。1人あたりの案件数は増加したものの、売上高は下落する結果となった。
■期待されるBSM「プロサイン」!
プロレドが力を入れているのは、今回減損したBSM(Business Spend Management)と呼ばれるソフトウェアの「プロサイン」だ。海外で急速に普及が進んでいるDXの事業領域の仕組み。間接材調達コストの可視化・分析や見積取得の機能をクラウド上で提供できるもの。
「プロサイン」のイメージとしては、間接材などの購入のMonotaro(モノタロウ)が提供しているプラットフォームやアスクルなどの購買システムと連動したコスト管理ソフトウェアだ。競合他社としては、Coupaという米国企業やオラクル、SAPが大手企業向けにサービスを提供している。
「プロサイン」は中堅・中小企業向けをターゲットとしており、そこからコスト削減コンサルティングにつなげる狙いも見える。BSMの機能としては、支出分析、見積、サプライヤー管理、契約管理、購買、請求までを管理するもの。日本では大手企業での導入は少しずつ進んでいるものの、中堅・中小企業ではほとんど導入されていない領域だ。
■プロレドの財務状況は?
プロレドの2022年7月31日時点のB/Sをみると、現預金は46.7億円、投資有価証券は32億円を保有しており、合計で約80億円の換金可能な資産を持っている。いっぽう、有利子負債は約8億円にとどまる。いまのB/Sをみると、プロレドの時価総額約70億円というのは割高感はまったくない。
プロレドのコスト削減コンサルティングもインフレが起こる前までは収益性の高いものであり、いずれインフレも落ち着くため、株価の安い今、戦略的に投資しておくもの悪い選択ではないのではないだろうか。すでに2年前から株価は10分の1まで下落しており、含み損で苦しんでいるホルダーも少なくなく、なかなか株価が上昇しにくい場面ではあるが、そのような時こそ妥当な株価で保有株を増やすタイミングかもしれない。
■プロレドの株価推移は?
プロレドの時価総額は約70億円。株価チャートをみると、右肩さがりのひどい状況だ。ただ、上場来最安値の423円を2022年6月20日につけてから約3か月後の今、株価は612円と40%以上も上昇している。ようやく底値を付けた可能性もある。
プロレドの業績は大幅に悪化したものの、在庫を抱える事業モデルではないため、それほど大きな損失を計上するケースは少ない。いまが悲観的な場面で、これから改善していくのではないだろうか。
以 上