太陽光パネル製造のAbalance(エーバランス)、株価は割安か?

 太陽光パネル製造と自社所有の太陽光発電所で稼ぐビジネスモデルを構築しているAbalance(エーバランス)。今期は売上高は1,850億円(前年比△303億円)になるものの、営業利益は+206億円(前年比+78億円)と増益になる見込み。子会社のTOYO Co.,LTDが米国ナスダックに上場している会社と合併する計画を立てており、注目を集めている。Abalanceの事業と業績の行方は?

■基本情報(2024年7月5日時点)

  • 株価:1,191円(10年来高値:13,620円)
  • 時価総額:213億円
  • 予想PER:2.6倍
  • PBR:1.15倍
  • 予想配当利回り:0.67%
  • 自己資本比率:12.4%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:10,431人(2023年6月30日時点)
  • 事業価値:571億円

■Abalanceの業績は?

 Abalanceの2024年6月期の第三四半期の売上高は1,556億円(前年比△4.3%減)、営業利益140億円(前年は92億円)の減収増益。Abalanceの売上総利益率は+18.5%(前年は+12.0%)、営業利益率は+9.0%(前年は+5.7%)と2ケタが見えてきた。

 Abalanceの売上総利益は前年の196億円→288億円と+92億円増、販管費は前年の104億円→148億円と+44億円の増加となり、差し引きで+48億円の増益となった。

■Abalanceのビジネスは?

 株価の急騰で投資家のあいだで注目を集めることが多いAbalance。東証スタンダードに上場している。2000年4月に設立。単体の従業員数はたった40名、連結2,002名。Abalanceは注目を集める企業で一時は時価総額2,000億円を超えていたものの、主要株主は個人ばかり。

 Abalanceは東証スタンダードに上場している明治機械株式会社の約40%を保有する主要株主。また、元執行役員が自社株式のインサイダー取引をしていたとして逮捕されている。いろいろな面で注目を集めることが多いAbalance。

 Abalanceは本体の従業員数は40名しかおらず、企業グループの全体像がわかりにくい。太陽光パネル製造のグリーンエネルギー事業や建設機械事業、祖業のIT事業、光触媒事業など幅広く事業をしているものの、有名なのは太陽光パネル事業だ。

 Abalanceは2000年4月にインターネット上の知恵交換サイトの開発、運営などでスタート。2007年9月に東証マザーズに上場。そこから企業買収して業容を大きく変化してきた歴史がある。

■Abalanceグループとは?

 Abalanceグループは、太陽光パネル製造のVietnam Sunergy Jint Stock Company(VSUN)、Fuji SOLAR、WWBなどで構成されている。なお、主力のVSUNは43.2%出資のマイノリティ出資となっている。このVSUNに従業員1,280名が所属しており、Abalanceの企業価値のほとんどが存在していると言っても過言ではない。

 なお、Abalanceの有価証券報告書をみるとアスカ監査法人が独立監査人をしている。アスカ監査法人は1987年に設立された中堅監査法人で、従業員数は2023年6月末時点で49名、上場企業20社を含む50社ほどの監査を担当している。この規模の監査法人で複雑でグローバルに展開しているAbalanceの実態を把握できるか疑問符は残る。

■Abalanceの財務諸表は?

 Abalanceの2024年3月末時点の財務諸表をみると、現預金は255億円、商品が294億円、有形固定資産が492億円、無形固定資産が72億円となっている。負債は、有利子負債が472億円、未払費用が218億円、契約負債(前受金)が147億円などとなっている。急成長している企業と捉えることができるものの、Abalanceの実態がよく見えないというのが正直なところ。

 なお、Abalance単体では年間売上高は9.3億円、経常利益33百万円と非常に規模が小さい。連結のグループ会社の存在がAbalanceの企業力の源泉であり、単体はホールディングスカンパニーという位置づけだ。

 グループ全体でみて気になるのは、営業CFは2023年6月期までは赤字がつづいており、本当に稼ぐ力があるか疑問点がある。

■Abalanceの株価推移は?

 Abalanceの時価総額は約200億円。予想PERは2.6倍と株価指標的には割安であるものの、事業実態が見えず、かなり企業価値が割り引かれていると言えるだろう。約1年前の2023年5月には時価総額は2,000億円を超えており、成長性を考えると、それほど以上ではなかった。いまの財務諸表から考えると、きわめて割安に見える株価となっている。

以 上

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